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平成18年1月27日 本会議
「アスベスト法案」について質問

第4号 平成18年1月27日(金曜日)
平成十八年一月二十七日(金曜日)
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  平成十八年一月二十七日
    午後一時 本会議
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○本日の会議に付した案件
 石綿による健康被害の救済に関する法律案(内閣提出)及び石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑



○高木美智代君 公明党の高木美智代でございます。

 私は、自由民主党及び公明党を代表し、ただいま環境大臣より趣旨説明のありました石綿による健康被害の救済に関する法律案及び石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案について質問いたします。(拍手)

 昨年六月末、アスベスト疾患による健康被害の問題が改めて明るみに出されてから、間もなく七カ月になります。調査や報道により明らかになっていったアスベスト被害の深刻さは、国民に大きな衝撃を与えました。これまでに、アスベスト疾患にかかりながら、何の補償もなく、病気と経済的負担によって苦しまれ、亡くなられた方々のことを思いますと、いたたまれぬ思いがいたします。無念の中を亡くなられたアスベスト疾患の患者と御遺族に改めて衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、現在闘病中の方々に心からお見舞いを申し上げます。

 私ども公明党も、平成十七年七月十二日、対策本部を設置し、翌十三日、尼崎市に視察、かつ闘病されている患者の方や亡くなられた患者の御遺族を初め関係者から実情を伺うとともに、それを踏まえ、同月二十五日、小泉総理に対し、総合的な対策法の制定を初め、患者や遺族の救済、被害拡大防止など、国民の不安にこたえるために迅速かつすき間のない救済を求め、平成十七年度補正予算の編成を提案してまいりました。

 与党のプロジェクトチームも会合を九回開き、より実効性ある被害者救済のための法案を目指し、自民党の皆様や政府関係者と何度も議論を重ねてまいりました。

 その結果、政治主導で現実に平成十七年度補正予算化され、このような被害者救済と被害拡大防止のための法制が速やかに整備される運びになったことにつきまして、率直に評価申し上げるものでございます。(拍手)

 十分な審議を経て法案が早期成立し、被害者と御遺族に一日も早く給付がなされるよう願ってやみません。どうか、政府関係者におかれましても、被害者の側に立った取り組みを基本とし、迅速で的確な制度構築と、窓口対応も含めた誠実で温かい認定・給付作業に御尽力いただきますようお願いいたします。

 さて、石綿は、終戦直後、食料増産のための肥料製造のため、肥料工場向け石綿織布としての効用が脚光を浴び、業界で取り合いとなったため、政府が臨時物資需給調整法に基づき、石綿の配給を行った歴史があります。この配給は、昭和二十七年まで行われました。その後、その有用性が周知され、国としてJIS規格品として指定した事実もあります。換言すれば、その当時、何人もこれが有害なものとは認識していなかった特殊性があり、被害者救済に係る交付金についても、右事実を踏まえた基金造成が行われるべきと考えます。

 その上で、水俣病やイタイイタイ病など深刻な公害問題を生じさせてしまったことへの反省から、官民挙げて再発防止に取り組んできたにもかかわらず、このような問題がまたしても起きてしまったことについて、徹底して検証する必要があると考えます。これまでの取り組みのどこに問題があったのかを明確にすべきです。政府部内での検証作業を踏まえ、政府として今後どのように取り組まれていくのか、官房長官にお伺いいたします。

 それでは、石綿による健康被害の救済に関する法律案について質問いたします。

 初めに、労災認定を受けられず、現在闘病生活を続けている中皮腫患者が多数おられますことに触れなければなりません。その方たちは、病気の苦痛に加え、大変な経済負担に苦しんでおられます。いわゆる一人親方として職人の誇りを持ちながら、長い間建設関係の現場でアスベスト含有の建材を切削するなどの作業をされてきたある中皮腫患者の方は、病状の進行を抑える薬剤の投与などのため、月々の医療費負担は数十万円にも及び、休業補償もなく苦しまれていると伺っております。

 中皮腫は、発症後、病状が急速に進む病気であることにかんがみ、給付開始までの間に現行制度をもっと柔軟に運用して、何とか手を差し伸べることはできないでしょうか。現代は、他者の痛みを見失った社会などとも言われております。闘病患者の痛みを我が痛みとし、同苦して手を差し伸べる血の通った政治、行政が今こそ求められていると感じます。(拍手)厚生労働大臣のお考えを伺います。

 次に、法案の内容について環境大臣に伺います。

 今回構築される制度の目的に関してですが、「石綿による健康被害の特殊性にかんがみ、」とあります。「特殊性」の定義につきまして、先行事例としての有機水銀やカドミウムなどと比較し、明らかにしていただきたい。

 現在、石綿疾患の認定基準の策定作業を政府部内で行っていると聞いております。迅速な認定のためにも、認定基準の早期策定が求められます。基準策定の時期と基準の内容についてお答えください。あわせて、さきの我が党の神崎代表の代表質問に対し総理が、給付は申請時にさかのぼって支給されると答弁されておりますが、申請自体はいつから可能になるのか、その見通しについてお答えください。

 また、被害者救済に関連して、環境省は現在、兵庫県などと連携して、尼崎市を中心にアスベスト患者の追跡調査をしていると聞いております。その調査内容と分析など、どこまで進んでおられるのか、また、他の地域にも疫学調査の対象を広げていく考えがおありなのか、伺います。

 さらに、本法案では、労災補償を受けずに死亡した労働者の遺族に対する特別遺族給付金制度を創設するとしております。この給付金の趣旨と概要について厚生労働大臣に伺います。

 次に、石綿による健康等に係る被害の防止のための大気汚染防止法等の一部を改正する法律案について伺います。

 アスベスト被害に関しては、患者や遺族に対する救済策とともに、今後の被害拡大を防止するための厳格な取り組みが大切です。安心、安全の日本をつくり、国民の不安を払拭するために、徹底したアスベストの封じ込めや無害化のための取り組みが必要と考えます。

 今回、大気汚染防止法など四法の改正が行われ、かなり徹底した施策が講じられるようになることは評価いたします。ですが、一方、さきの厚生労働省の調査で、建造物の解体現場千二百八十カ所中五・五%に当たる七十一カ所で、石綿障害予防規則違反が見られたと聞きます。制度ができても、きちんと運用されなければ何にもなりません。

 石綿障害予防規則など現行の制度も含め、運用面での実効性を担保する方策と厳格な運用への御決意を、環境大臣と厚生労働大臣、国土交通大臣に伺います。

 また、今回の改正でアスベストへの規制強化が図られることに関連し、現行の輸入や販売、使用などの禁止に加え、グローバルな被害拡大を防ぐ観点から、輸出に対する規制をかけるべきではないかと考えます。

 かつて、国内での使用が禁止になった農薬などを途上国に大量に売りつけて、心ある人々からのひんしゅくを買った苦い経験にかんがみ、ぜひ検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

 また、国民の側には、果たして今回の改正法だけでアスベスト被害拡大防止策として十分なのかという声もあるやに聞いております。さらなる取り組みは必要ではないのか、アスベストの早期完全禁止や検査官の増員も含めた輸入品への水際対策の徹底、地震などの災害時に備えた飛散防止策などについても遺漏はないのか、国民の不安にどうお答えになるのか、重ねて官房長官にお伺いいたします。

 中皮腫による死亡者数は、二〇〇四年だけで九百五十三人、一貫してふえ続けており、今後年間千人を超すと予測されております。これ以上の被害者をふやさないためにも、今回の制度を確実に運用して、きめ細かな施策を講じていくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣安倍晋三君登壇〕

○国務大臣(安倍晋三君) 高木議員にお答えをいたします。

 まず、検証作業を踏まえた政府の取り組みについてお尋ねがありました。
 政府の過去の対応については、既に各省庁において十分な検証作業を行い、その結果を関係閣僚会合において取りまとめ、公表しているところです。

 いずれにしても、反省すべき点は反省しなければなりませんが、政府としては、石綿による健康被害者の現状を重く受けとめ、迅速な救済のために救済法案を提出したところでありますから、本法案を速やかに可決、成立させていただき、一日も早く施行できるように努めてまいりたいと考えております。

 次に、アスベストの輸出規制についてのお尋ねがございました。
 アスベスト製品の貿易に係る規制は、一義的には輸入国において必要な措置がとられるべきものと考えております。

 なお、我が国においては、アスベスト製品の輸出について、水際での規制は行っておりませんが、労働安全衛生法に基づき既に大宗のものの製造等が禁止されております。

 続きまして、アスベスト使用の早期完全禁止についてのお尋ねがありました。
 アスベストの全面禁止については、アスベスト問題に係る総合対策における方針を踏まえ、平成十八年度中にできる限り速やかに法的に措置されるものと承知をしております。

 なお、先般、関係事業主団体に対し、禁止対象となるアスベスト製品の速やかな使用中止等を要請するなど、既に実質的に全面禁止となる措置を講じたものの、完全な全面禁止に向け、なお残された例外品について、関係省庁が連携し、早期の代替化を進めるものと承知をいたしております。

 次に、アスベストを使用した輸入品への水際対策についてのお尋ねがありました。
 労働安全衛生法上、輸入が禁止されていることを受け、外国為替及び外国貿易法においても、アスベスト含有製品については原則として輸入を禁止とする措置を講じているところです。また、実際の水際における執行については、税関等関係機関が連携をとっているところです。

 これらにより、アスベスト含有製品の水際対策の徹底を図っているところ、今後とも関係省庁が連携し、政府一体となって適切に対処をしてまいります。

 最後に、災害時に備えた飛散防止措置が必要ではないかとのお尋ねがありました。
 建築物に係る吹きつけアスベスト等について、今回の法改正によって既存建築物からの除去命令等を可能とするとともに、今回の補正予算によって除去費用の補助制度を創設することとしており、既に講じられている耐震改修の促進制度と相まって、飛散防止が図られるものと考えております。(拍手)

    〔国務大臣小池百合子君登壇〕

○国務大臣(小池百合子君) 高木議員からは、六問お尋ねがございました。

 まず、「石綿による健康被害の特殊性」、「特殊性」とは何かというお尋ねでございます。
 一般に、健康被害に関しましては、原因者が被害者の損害を負担することが基本となっております。例えば、有機水銀によります水俣病、カドミウムによるイタイイタイ病については、汚染物質の排出源が特定されたことから、その排出源であります原因者から被害者に対する補償が行われてきたものであります。

 これに対し、石綿による健康被害につきましては、まず、石綿への暴露から発症まで潜伏期間が長いこと、極めて広範な分野で石綿が利用されてきたこと、こういったことから、個々の健康被害の原因者を特定することが極めて困難となっております。

 加えまして、中皮腫や肺がんは重篤な疾病であり、発症から一、二年でお亡くなりになるケースが少なくありません。このような被害はほかに例がなく、ここにも特殊性があり、石綿による健康被害者を何らかの形で迅速に救済することが強く求められているものでございます。

 認定基準の策定時期と、その内容についてのお尋ねでございます。
 現在、環境省、厚生労働省共同で検討会を開催しまして、石綿による健康被害に関する医学的な判断について検討を進めているところでございます。早急に考え方を取りまとめた上で、今年度内には認定基準を策定することといたしております。

 また、申請の開始時期についてのお尋ねでございます。
 石綿疾病の認定の申請につきましては、年度内には開始する予定でありまして、現在、しゃかりきに準備を進めているところであります。

 兵庫県で実施しております調査についてのお尋ねでございます。
 御指摘の調査につきましては、尼崎市を含みます兵庫県内で、中皮腫でお亡くなりになりました方の御遺族の御協力を得ながら、聞き取り調査、医療機関でのカルテ調査などの方法によりまして、被害者の居住歴、職歴などの調査を行い、石綿への暴露経路に関する実態を把握しようとするものでございます。調査の結果につきましては、今年度内をめどに取りまとめていきたいと考えております。

 調査の対象地域の拡大についてのお尋ねでございますが、この調査については、来年度も引き続き、兵庫県以外の地域も対象に加えながら実施をしてまいりたいと考えております。

 最後に、今後の被害拡大を防止するための、制度運用面での実効性の確保についてのお尋ねでございます。
 石綿被害防止一括法案では、従来の建築物の解体などに加えまして、新たに工作物の解体などの際にも徹底した石綿の飛散防止策を講じなければならないなどの措置を定めております。

 この法案を含め、被害拡大防止のための各種制度の実効性を確保するに当たりましては、石綿が使用されております建築物等に関する情報を整備すること、その情報を関係省庁間で共有すること、この制度の内容について地方公共団体や国民の皆様方に周知徹底することなどが極めて重要でありまして、こうした点に十分留意をしながら、厳格な運用に努めてまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

○国務大臣(北側一雄君) 高木議員にお答えをいたします。

 御指摘のとおり、対策の実効性を上げるためには、法律の的確な運用が不可欠でございます。

 このため、建築物に使用されております吹きつけアスベスト等の実態把握に努め、アスベスト繊維の飛散のおそれがある場合には、速やかに勧告及び是正命令等が行われるようにしてまいります。また、建築物の増改築時には、建築確認検査を通じて吹きつけアスベストの除去等の徹底を図るよう、特定行政庁に対し必要な助言等を行ってまいります。

 さらに、建築基準法によるアスベスト対策の実効性を確保するためには、環境整備といたしまして、アスベストの除去等に対する支援制度の創設、相談体制の整備充実、建築士等に対するアスベストの調査方法、除去方法等に関する講習会や研修会の実施が必要であり、関係省庁ともよく連携をとりながら対応をしてまいります。(拍手)

    〔国務大臣川崎二郎君登壇〕

○国務大臣(川崎二郎君) 高木議員から三件の御質問がございました。

 一点目、中皮腫を発症した一人親方等の救済についてお尋ねがありました。
 労災保険制度においては、特別加入している一人親方等については補償の対象としてきたところであり、今後とも適切かつ迅速な補償に努めてまいりたいと思います。また、労災補償制度の対象とならない方に対する救済制度を構築すべく、本法案を提出したところでございます。

 二点目、特別給付金についてのお尋ねがございました。
 石綿に起因する中皮腫、肺がん等により死亡した労働者等の遺族の方の中には、労災保険法に基づく遺族補償給付の支給を受ける権利が時効により消滅した方がおられます。今般、これらの方々について、石綿に起因する疾患が、潜伏期間が長いこと、石綿と疾患の関連性に医者も本人も気づきにくいこと等の特殊性を有することから、その救済を図るため、特別遺族年金または特別遺族一時金を給付することとしております。

 三点目については、既にもう環境大臣、国土交通大臣からお話がございました。各種の周知徹底を図ると同時に、建築物の解体現場に対する重点的な監督指導、建材中の石綿含有率の分析方法についての講習の実施など、アスベスト暴露防止対策の一層の徹底を図ってまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)





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