「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案」について

2008.5.29

<strong><span style=”color: #ff0000;”>○高木(美)委員</span></strong> 公明党の高木美智代でございます。

私は、自由民主党並びに公明党を代表し、ただいま趣旨の説明がありました障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案について質問をいたします。(拍手)

我が国の障害者数は約七百二十万人となっており、実に国民の六%が、何らかの障害を持たれていることになります。障害を持つ方が地域での自立と共生を実現するためには、所得保障が不可欠であり、雇用の促進並びに障害基礎年金の引き上げ等、進めなければならないと考えます。

一九六〇年の制定以来、障害者雇用促進法の改正を重ねた結果、現在、常用雇用されている障害者数は約五十万人に増加しておりますが、障害者の就労意欲と相まって、障害者のニーズに合った雇用促進が一層求められております。

公明党は、障害者本人の視点に立ち、ジョブコーチの養成と拡充やトライアル雇用の促進等に取り組んでまいりました。昨年十一月には、福田総理に、雇用政策に関する柱の一つとして具体的に申し入れを行いました。

障害者の方のニーズの第一番目は、地域の身近な場所で働きたいということです。

大企業では障害者の雇用数も増加しておりますが、法定雇用率達成企業数は約四四%、まだ半数に満たない状況があります。かつてバブル崩壊の前までは、障害者を雇用していたのは身近な中小企業でした。今回の改正案では、障害者雇用納付金制度の適用対象を現行三百一人以上の大企業から百一人以上の中小企業にも拡大し、促進を図ることとしております。我が国の企業数の約九割を占める中小企業における雇用の促進は極めて重要であり、激しい国際競争の中で奮闘する中小企業の雇用率低下に対して歯どめをかけるものと理解しますが、そのためには、経済的負担や環境整備への支援が欠かせません。

百一人以上企業への拡大については、平成二十七年四月一日を施行日としておりますが、今回の改正案で盛り込まれている、複数の中小企業が事業協同組合などを活用して共同で障害者雇用を図るといったことも含め、事業主に対しては、きめ細やかな周知、指導を図るとともに、障害者を受け入れる環境整備のための経済的支援や、職場実習、職場定着に至るまでの人的支援策を充実することが求められます。

具体的支援策についてどのようにお考えか、厚生労働大臣にお伺いいたします。

また、率先して範を示すべき公務部門においても、全体の実雇用率では二・一七%と法定雇用率を超えてはおりますが、地方公共団体や独立行政法人等の中には、いまだ達成していない機関があります。雇用の数や率のみならず、なかなか一般就労が難しい知的障害や精神障害を持つ方の雇用にも積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、厚生労働大臣及び障害者施策を担当しておられる岸田国務大臣のお考えを伺います。

また、今回の改正案において、特例子会社がない場合であっても、企業グループ全体で雇用率を算定するグループ適用制度の創設が盛り込まれておりますが、一定の子会社などに偏ることへの懸念もあります。それぞれの子会社においても障害者雇用を進めることができるように留意することも必要と考えますが、厚生労働大臣の御所見を伺います。

次に、障害者のニーズの第二番目は、短時間労働であります。

働く意欲がある一方で、障害の特性、程度、体力面における課題を考えれば、週三十時間以上という就労は困難でも、短時間の労働であれば可能との声が多くあります。既に、前回の改正では、通院や服薬の関係から短時間勤務を希望する精神障害者については、短時間労働者も実雇用率への算定が特例措置として講じられました。

今回の改正案では、週二十時間以上三十時間未満の短時間労働者を追加し、雇用義務算定にカウントすることとしております。本改正は、福祉的就労から一般雇用に移行するための段階を設ける意味で有効であり、就労形態について選択肢が広がると思われますが、単なる不安定な雇用形態としてはなりません。障害者本人の希望と適性に合った雇用を確保できるよう配慮が必要と考えます。職業生活の自立促進の観点から、きめ細やかな支援について、厚生労働大臣のお考えを伺います。

障害者の就労促進において重要となるのは、特別支援学校からの一般就労を促進することです。

現在、一般就労への就職率は約二〇%。今後、特別支援学校における教育の課程において、ハローワークと密接な連携の上で、職業教育を積極的に取り入れるなど就労移行への支援メニューを充実させることが求められております。

東京の大田区では、特別支援学校や福祉施設からの一般就労を促進するため、障害者就労促進担当者会議を設置し、地域のネットワークを活用し、成果を上げております。一般就労への入り口というべき特別支援学校の卒業生に対し、充実した細やかな支援がなされております。

教職員の方の就労支援スキル向上のための支援策や、学校と地域の連携を含め、福祉と労働、教育と労働の連携をさらに強固にしていく必要があると考えますが、文部科学大臣にお伺いいたします。

先日の経済財政諮問会議において舛添厚生労働大臣より示された新雇用戦略において、障害者のハローワークにおける就職件数を二〇一〇年度までに十四・四万件に、また、雇用されている障害者数を二〇一三年度までに六十四万人にとの数値目標が明示されました。

そのためには、地域拠点的役割を担うべき障害者就業・生活支援センターを拡充し、就業、生活の両面にわたる相談や支援が十分に提供できるよう、今年度、全国二百五カ所に設置予定ですが、身近な福祉圏内に設置し、適切な人員配置がなされることが求められます。

また、ジョブコーチについても、現在約千五百人ですが、さらなる拡充が必要であります。

障害者が職場定着までのきめ細やかな支援の中で自立へと進めるように、障害者就業・生活支援センターを中心とした地域拠点基盤づくりとジョブコーチなどの人的な拡充が必要と考えますが、厚生労働大臣にお伺いいたします。

また、雇用率制度の対象となっていない発達障害の方や難病を持つ方々に対しても、本人の意欲に応じて、その障害の特性を踏まえたきめ細やかな就労支援を図ることが必要と考えますが、厚生労働大臣の御所見を伺います。

ところで、規定の二十カ国が締結したことを受けて、去る五月三日、国連障害者の権利に関する条約が発効いたしました。この条約は、障害者の人権を明確に保障した初の国際条約であり、二〇〇六年十二月の国連総会において全会一致で採択され、我が国も昨年九月、署名を行ったところです。

公明党は、早期より障害者権利条約の批准を訴えており、五月八日に福田総理あてに早期批准を求める申し入れを行いました。

また、公明党はかねてより、すべての人が互いにその人権を尊重しつつ、責任と権利を分かち合い、誇りを持って自立できるユニバーサル社会の形成を推進してまいりました。昨年の自由民主党、公明党の政権政策合意の中でユニバーサル社会基本法の制定について盛り込まれ、現在、与党のプロジェクトチームにおいて法制化の取り組みが進められております。

このユニバーサル社会基本法とともに、障害者権利条約の早期批准に向けた観点からも、本法律案の改正は前進への一歩と考えます。ユニバーサル社会、ノーマライゼーションという大きな視点から見たときに、これらの法、また条約に込められた理念を具体化すべく、障害にかかわらず個性、能力を発揮できるよう、すべての企業において障害者への理解が促進され、就労できる環境を整備することが重要と考えますが、厚生労働大臣並びに岸田国務大臣の御決意とお考えをお伺いできればと存じます。

公明党は、今後とも、障害者の真の自立支援とユニバーサル社会の構築への視点に立った政策を推進すべく、全力を尽くしてまいることをお誓いし、質問を終わらせていただきます。

ありがとうございました。(拍手)

〔国務大臣舛添要一君登壇〕

<strong><span style=”color: #008000;”>○国務大臣(舛添要一君)</span></strong> 高木議員にお答えいたします。

中小企業に対する周知や支援策についてのお尋ねがございました。
中小企業における障害者雇用をより効果的に促進するためには、これまで暫定的に適用対象外としていた中小企業に障害者雇用納付金制度の適用対象を拡大することとあわせて、中小企業に対する支援策の充実強化を実施することが重要であると考えております。

このため、今回の改正におきまして、中小企業が事業協同組合等を活用して障害者を雇用した場合の雇用率算定の特例を設け、その周知を図るとともに、障害者の雇用・職場定着に関するノウハウの提供やジョブコーチ支援等、中小企業への支援を充実すること、中小企業により重点を置いて助成金を支給すること等を予定しております。

今後とも、こうした支援策を通じて、中小企業における障害者雇用を進めてまいります。

次に、公務部門における障害者雇用の促進についてお尋ねがございました。
御指摘のとおり、残念ながら、公的機関においても法定雇用率未達成の機関があり、特に、都道府県教育委員会においては雇用状況が低迷している状況にございます。

このため、公的機関については、昨年十二月に決定された障害者基本計画に基づく重点施策実施五カ年計画において、平成二十四年度までにすべての機関で雇用率を達成することを目標としており、目標の達成に向けて厳正な指導を行いたいと考えております。

さらに、公的部門におきましては、今後は知的障害者や精神障害者の雇用に率先して取り組むことが重要であることから、障害者が一般雇用に向けて経験を積むことを目的としたチャレンジ雇用を推進、拡大しているところでございます。

次に、企業グループ特例についてのお尋ねがございました。
企業グループ特例の適用に当たりましては、御指摘のように、個々の子会社における障害者雇用が大幅に後退することのないよう、親会社が障害者雇用の促進、安定に責任を持つこと、単独では障害者の雇用義務が課されない子会社も含めグループ内のすべての子会社を対象とすることにより、より多くの障害者雇用が必要となること、グループ内のすべての子会社に一定数以上の障害者雇用を課すこと等を要件とすることとしており、グループ内の特定の子会社に障害者雇用が偏ることのないよう、企業グループ全体での障害者雇用の促進が図られるように努めてまいります。

続きまして、短時間労働に対応した雇用率の見直しに当たっての支援についてのお尋ねがございました。
短時間労働に対応した雇用率の見直しにつきましては、週所定労働時間が二十時間以上の雇用保険の被保険者となるような者を対象とするとともに、安易な短時間労働への代替を防ぐ観点から、週所定労働時間が三十時間以上の場合の二分の一のカウントとしたいと考えてございます。

また、本年四月に施行された改正パートタイム労働法等も踏まえ、今後策定する障害者雇用対策基本方針において事業主が配慮すべき事項について検討するとともに、ハローワークや地域障害者職業センター等において、事業主が適切に雇用管理を行うよう相談など支援を行ってまいります。

続きまして、障害者就業・生活支援センター及びジョブコーチの拡充についてお尋ねがございました。
障害者就業・生活支援センターについては、重点施策実施五カ年計画において全障害保健福祉圏域に設置するとされたところであり、同センターにおける支援体制の充実とともに、計画的かつ早急な設置を進めているところでございます。

また、ジョブコーチにつきましても、重点施策実施五カ年計画に基づき、平成二十三年度までに五千人養成することとしており、高齢・障害者雇用支援機構による養成とあわせて、民間による研修を活用し、養成を実施しているところでございます。

今後とも、障害者就業・生活支援センターやジョブコーチの拡充を推進し、障害者一人一人の特性に配慮した支援体制の充実に努めてまいります。

難病の方や発達障害者に対する就労支援についてのお尋ねがございました。
難病の方や発達障害者については、障害者手帳をお持ちにならない方についても職業リハビリの支援対象となっており、ハローワークにおけるきめ細かな職業相談・紹介、障害者職業センターにおける専門的な職業リハビリテーションなどを実施しているところでございます。

また、事業主に対して、障害特性の理解を進め、雇用管理ノウハウを提供するためのマニュアルを作成し、事業主の理解の促進を図っているところであります。

今後とも、ハローワークや障害者職業センターにおける障害特性を踏まえたきめ細やかな就労支援に取り組んでまいります。

最後に、障害にかかわらず個性、能力を発揮するための、企業における理解の促進、就労環境の整備についてお尋ねがございました。

私は、ユニバーサル社会、ノーマライゼーション、こういう大きな目標を遂げた社会が本当の意味の先進国である、そういう思いで日々厚生労働行政に携わっております。

我が国は、昨年九月、障害者権利条約に署名したところでございますが、最近においては、ユニバーサル社会の形成に向けた動きがあるなど、障害者雇用をさらに進めていく機運が高まっているところであります。

こうした中、今回の法律案は、障害者の意欲や能力に応じ、障害者の働く選択肢や雇用機会を拡大しようとするものであり、こうした取り組みを通じながら、企業における障害者の理解促進、就労環境の整備に努めてまいります。(拍手)

〔国務大臣岸田文雄君登壇〕

<strong><span style=”color: #008000;”>○国務大臣(岸田文雄君)</span></strong> まず、私の方には、公務部門における障害者雇用の促進についてお尋ねがございました。

障害者にとって雇用、就業は、地域で生き生きと生活していくための重要な柱となるものであり、国、地方公共団体等の公的機関は、障害者の雇用に関し率先して範を示すことが重要と認識をしております。

政府においては、昨年十二月に障害者施策推進本部で策定いたしました重点施策実施五カ年計画において、平成二十四年度までにすべての公的機関において障害者雇用率を達成することとしています。また、同計画においては、就労が困難とされる知的障害や精神障害を有する方を各府省で非常勤職員として率先して雇用し、一般就労へとつなげるチャレンジ雇用を本年度中にすべての府省で実施することとしています。

今後とも、これらの施策の着実な実施を図り、障害者の雇用の促進を図ってまいりたいと考えております。

もう一つ、障害者への理解促進と障害者の就労環境整備についてお尋ねがございました。

政府においては、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の理念の普及を図るため、昨年十二月に策定した重点施策実施五カ年計画に基づき、国民の共生社会に関する周知度が五〇%を超えるよう、各種施策に取り組んでいます。

また、昨年十二月の障害者週間においては、障害者の雇用に関するセミナーを開催するなど、障害者雇用への理解を促進し、障害者の働きやすい環境づくりに努めてきたところです。

今後とも、共生社会の理念の普及を図るとともに、障害者雇用への理解を促進し、障害者が働きやすい環境づくりを促進してまいりたいと考えております。(拍手)

〔国務大臣渡海紀三朗君登壇〕

<strong><span style=”color: #008000;”>○国務大臣(渡海紀三朗君)</span></strong> 高木議員から、特別支援学校における就労支援についてお尋ねがございました。

障害のある生徒が自立をし、社会参加していくためには、社会の変化や生徒の障害の状態に応じて職業教育や進路指導の改善充実を図る必要があります。

このため、文部科学省では、特別支援教育総合研究所が実施する研修を通じて就労支援に係る教員の専門性の向上を図るとともに、学校と労働関係機関や企業等が緊密な連携のもと、職業教育の改善や職場開拓などに向けた実践研究を進めております。また、教育委員会等に対して、厚生労働省が行う特別支援学校を対象とした就労支援セミナーや事業所見学会などの活用を促しているところであります。

文部科学省としては、これら教育施策と雇用施策の連携を一層強化して、障害のある生徒の就労が促進されるよう努めてまいります。(拍手)

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