「思春期の健康教育問題」について質問

2006.6.3

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
 先ほど来、長崎の痛ましい事件のお話がございました。御手洗さんの御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、やはりこの再発防止のために、調査、解明が待たれるところでございます。
 先ほどもお話がございましたが、ともすれば教育基本法の改正等に一気に流れをつくりたい、そういう方もいらっしゃるようですが、私は、むしろ教育現場で子供に対してどういう施策が届いているのか、このことの方が大事であると思っております。スクールカウンセラーであるとか、子供の居場所づくりであるとか、子ども読書運動であるとか、こうした具体的なものを大人のメッセージとしてどう伝えていくか、ここをさらに具体的に考えてまいりたいと思っております。
 そうした意味から、その思いを込めまして、私は、思春期の予防教育につきまして質問をさせていただきたいと思います。
 実は、このほど与党で、この先十年間の健康フロンティア戦略、これを厚生労働省で取りまとめまして、骨太方針に盛り込まれる予定になっております。私も、そのPTのメンバーとして携わらせていただきました。女性の生涯を通じた健康のために、女性のがん緊急対策を講ずると。また、その項目の中に「予防のための意識啓発の推進」と挙げられております。これを検討しましたときに、座長より、やはりこの予防については、特に今十代の女性に性感染症などがふえている、こういうことを聞いている、やはりこうしたことは学校教育にまつところが大きいという御指摘がございました。私も全く同感ですと意見を述べたところでございます。
 今、性感染症になった人は、とかく二十代の女性に増加傾向の子宮頸がんであるとか、またHIV感染者になりやすい、こういう報告もございます。また、御存じのとおり、十代の妊娠、中絶も増加しておりますし、エイズは、アジア、アフリカから流行の大きな波を目前にしております。そういう中で、我が国の置かれておりますところは、やはり十代の性意識が大きく変化をしている。そういう中で、エイズであるとか性感染症、また、たばこ、薬害、人工中絶等を含めまして、子供たちの体と健康を守るための正しい性知識を与えていくことが大事だと思っております。
 そこで、まず性教育につきまして、小学校、中学校、高校の学校教育の中でどのように行われているか、文部科学省にお伺いしたいと思います。簡潔にお願いいたします。

○高杉政府参考人 学校における性教育、これは学習指導要領にのっとりまして、人間尊重ということを基盤に、児童生徒の発達段階、それから児童生徒の受容能力を適切に考慮して、性に関する科学的知識を理解させる、それとともに望ましい行動をとれるということをねらいとして、体育でございますとか保健体育、それから特別活動、道徳を中心に実施しているところでございます。
 具体的には、小学校では、主に体の発達、発育ということについて学び、中学校では、妊娠が可能になる生殖機能の成熟についての正しい理解とか、それから異性の尊重、性情報への適切な対処というようなことについて学ぶことになっております。ここで感染症の予防としてのエイズ及び性感染症についても取り扱うということになっております。
 それから、高校生になりますと、また異性を尊重する態度や性に関する情報への対処などの適切な意志決定、それから行動選択、これが必要であるということ、それから受精とか妊娠、出産、それに伴う健康問題、それから家族計画、妊娠中絶というようなことについて理解をし、指導をするということになっておりまして、小中高全体を通じて、学校教育また全体を通じて性教育を行っているという現状にございます。

○高木(美)委員 それでは、皆様にお配りしました資料を少しごらんいただきたいと思うのですが、当然皆さんはもう十分御認識かと思いますが、まず、左上にあります、これは「現代高校生の生活と性行動」でございます。B校といいますのはいわゆる学力上位校、C校というのは普通校といったデータでございます。この一番下のところに「性経験者」もしくは「現在交際中」、女子を見ていただきますと、一年生は、B校、成績のいい学校で三〇・八、C校で五〇%、三年になりますと、C校に至っては、現在交際中、そういう方は一〇〇%、こういうデータでございます。これは私も親として大変衝撃を受けました。
 そして、左下にございますが、いわゆる「性交経験時期」、これが右の棒グラフにございますが、「高校入学後」というのは、女性はこの中で七〇%という状況でございます。これは、いわゆる経験者の中でいつかということでございます。
 その左下に、これは有名なデータでございますが、高校生の生活と意識に関する調査、二〇〇四年二月発表になりました各国の比較でございます。日本は、「結婚前は純潔を守るべきである」、この下の「あまりそう思わない」「全くそう思わない」、合計しますと六六%、それに比べて、アメリカは、「全くそう思う」「まあそう思う」、守るべきであるというのが、合計しまして五二%、中国で七五%、韓国は七四%、こういう状況でございます。
 しかも、右のところに行きますが、「これまでの相手が五人以上の人の割合」、こういう内容でございます。特に左側の十八歳から二十四歳、女性で約四〇%近く、男性では四〇%を超えている、こういう状況です。特に、こうした同世代の人たちが見知らぬ人と性交渉を持つことも容認している、こういうことについても高いデータが示されております。
 右下のところに、二十歳未満の人工妊娠中絶実施率でございますが、これが千人に対しまして、これはちょっと古いデータですけれども、平成九年で七・九人、件数でいきますと今四万件を超えている、こういうデータで、ますます増加傾向にある、これが今の実態でございます。
 果たして、こうしたいわゆる教育がどこまでこうしたことに歯どめをかけていられるか、現実に実効性が出ているか、こういうことを考えますと、やはり、子供たちが何を求めているか、こういったことにもう一回着目をしながら、さらにこれを検討し直して推進をしなければいけないのではないかと思います。
 こうした若者の今の性行動の特徴を、活発化、ネットワーク化、無防備化、このように表現する学者もおります。当然、この傾向に歯どめをかけるという大人側からの努力も必要ですけれども、ただ、もう今、小学生のころから性に関する情報がはんらんをしておりまして、その中にほうり込まれながら荒波の中で育っている、こういう状況です。
 したがいまして、それはもう都会でも地方でも同じ状況でございまして、地方高校生の意識調査によりますと、性交渉を受容しているという高校生は約八割近く、中学生も五、六割の生徒が構わない、こういうふうに答えているということもデータでございます。しかし、そうした彼らも、一番興味深いのは、九割の高校生が、そうしたことについて危ないことは危ないとはっきり教えてほしいというメッセージを出していることでございます。
 こうした子供たちの側からの意識を大人がしっかりと受けとめて、やはり自然に覚えるだろうとか、また当然、興味本位というのは最近は少なくなりましたが、そういうあいまいな認識では大きなすれ違いになってしまうと思います。もはや、性教育として性を教える教育といいましても、大体細かい仕組み以外のことは、子供たちはもう既に小学校ぐらいからわかっている。むしろそれよりも、中学、高校生の段階になりますと、どうやって自分自身の身を守るか、健康な体を守るか、そういった意味で予防のための教育へと視点を変える必要があると思います。
 ですから、名称も、私は、性教育という、性自体を教えるといったような名称よりも、もう少し、例えば思春期のための予防教育とか、何かもう一歩、名称の検討からお願いしたいと思います。やはり、そういう一回のつまずきが後でどれだけ人生に大きな影を落とすのかとか、そういうことも含めまして、子供自身の生涯にわたる健康のために、あなた自身の幸福のためにというメッセージを込めまして正確な予防知識を与えておく、そのことが思春期を乗り越える一つの力になるのではないかと思います。
 これが何のためなのか、そういう視点がはっきり定まっていないということから、自治体によりましては行き過ぎた性教育が後を絶たない、そのためにまたいつも文部科学省さんが謝罪をしなければいけないような、そんなこともいつも報道されておりますけれども、やはりこうした名称の検討、また視点を変えていく、このことにつきまして、文部科学省の見解をお伺いしたいと思います。

○高杉政府参考人 性教育につきまして、これは先生御指摘のとおり、やはり私どもも、子供たちが生涯にわたって健康に生活をするという観点から、自分たちの身をきちっと守り、健康を維持するということをきちっと理解し、身につけさせる、そういう目的、ねらいを持って行っているということでございます。
 ただ、具体的には、性教育、これは非常に幅広い教育でございまして、男と女、それぞれの違いを認め合って尊重し合うというところからスタートするものであるということから、内容といたしましては、やはり将来にわたって健康を維持するということはきちっと踏まえながら、全体として幅広い教育というのを目指していきたいと思っております。

○高木(美)委員 全体として幅広いというのはよく理解できるんですが、ただ、もうこれだけの子供たちの意識の大きな変化、こういったことをもう少し鋭く受け取っていただきながら、また検討をお願いしたいと思います。
 特に、予防教育の時期は高校では遅いというふうに思います。少なくとも、中学の二、三年くらいに明確に行っていただきたいと思います。先ほど大臣が、間もなく夏ですとおっしゃっていらっしゃいましたが、やはりそうしたときに知識をちゃんと与え、確実にそれぞれが、エイズにかからない、性感染症にならない、そういう予防行動がとれるようになる、また、妊娠中絶であるとか、現実に数字としてあらわれるような、実効性のある努力をお願いしたいと思います。
 そこで、厚生労働省にお伺いしたいと思いますが、思春期の健康支援につきまして、取り組みを教えていただきたいと思います。

○伍藤政府参考人 女性の生涯を通じた健康支援という観点から、思春期における保健対策、こういったことは非常に重要な問題であるというふうに考えておりまして、いろいろな取り組みをしております。
 まず、エイズを初めといたします性感染症、これは母子感染による次世代への影響ということもありますので大変重要な問題だと思っておりますが、これが性的接触によるものがほとんどであるというようなことでございますので、こういった観点からの普及啓発、政府広報とか学校との連携、こういったことで、今幅広く進めておるところでございます。
 それから、母子保健分野の国民運動といたしまして健やか親子21というのを進めておりますが、こういったところでも、十代の人工妊娠中絶あるいは性感染症罹患率、こういったものを低減するための具体的目標を掲げて、今活動を進めておるところでございます。
 それから、研究面では、厚生労働科学研究というような研究費を活用いたしまして、特にこれはエイズなんかに有効だというふうに聞いておりますが、同年代の仲間による解決ということで、ピアカウンセリング、こういったものの研究、それから普及といったようなものにも取り組んでおるところでございます。
 それからさらに、薬物乱用も非常に大きなテーマでございますが、こういったものにつきましても、薬物乱用防止五カ年計画という中で、薬物乱用防止キャラバンカーを活用して学校等への巡回、こういった活動を進めておるところでございますし、さらに、健康日本21という幅広い国民運動の中でも、思春期の若者の喫煙とか飲酒、こういったものの危険性についての知識の普及啓発、こういったことにいろいろ取り組んでおるのが現状でございます。

○高木(美)委員 ありがとうございました。
 私、子供が高一、高三、女の子二人おりまして、中学校のときに「家庭教育ノート」をいただきました。ここに、例えば、性について親御さんにどういうふうに教えていらっしゃるのかと思いまして、この中に「「援助交際」なんて言葉にはだまされない。」という項目がありまして、毅然としていけないと言わなければいけませんと。この下のところに、こうしたことは違法であること、犯罪に巻き込まれる危険があること、望まない妊娠や性感染症を招くおそれがあること、将来の人生の心の重荷になることなど、気づくように働きかけましょうというふうにあるんです。
 やはり、もう一歩中身の、例えば今エイズ、性感染症、また喫煙防止など、こうした細かいパンフレットがずっと配られております。これも大事なんですが、私は、むしろ予防のためにといったような、こういう内容を一冊の資料にまとめていただきまして、その中にやはり女性の生涯にわたる健康を確保する、産みたいときにちゃんと産める体を確保しておいてあげる、こういったことも全部含めまして、証言なども入れていただいて、先ほど申し上げたそのような視点で、中学生、高校生用に作成をお願いできればと思っております。
 できましたら、その作成に当たりましては、トップダウンで、学者の方であるとか、また皆様が御自分たちでというのではなくて、当然現場の中学生、高校生の意見も取り入れていただいて、ボトムアップという方法でまとめていただければと思っております。
 そうしたパンフ、また資料がありましたら、それをそのまま保護者にも渡してあげることができる。それを保護者会で、例えば夏の前にこういうことに気をつけてください、要するに一〇〇%の交際率ですよ、そういうことを親御さんが知った上で、見守ってあげていただきたい。やはりこういう同様の知識があれば、親も自信を持って子供に伝えることができる。
 やはりこういう学校と、それから保護者と、また保健所等の医療機関の連携、ここが大変重要である、こういう観点から、こうしたパンフの資料作成をお願いしたいと思いますが、この点についての御見解を伺いたいと思います。

○高杉政府参考人 今、先生から貴重な御指摘をいただきました。
 私どもも、学校だけということではなくて、やはり社会、家庭、それが一体となって取り組むということが非常に重要であるということから、今先生御紹介いただきましたような、エイズに関しますとパンフレットとかポスター、それから薬物乱用、喫煙というようなパンフレットをそれぞれ、例えば中学校になりますと中学校一年全員がもらう、高校生になりますと高校一年全員がもらうという形にしておるわけでございます。
 それで、学校におきましても、そういういろいろな情報、それは地域の差とかいろいろありますので、それについて学校便りとかPTAで取り上げるとか、そういうことをやってくださいということで指導しております。
 それとともに、今先生貴重な御指摘をいただきました資料のつくり方、それについては、私どもも、先生の御意見を十分踏まえて、今後その改善、より明確に、先生に御指摘いただいた問題について児童生徒がわかるということを、今後の教材作成について工夫をしていきたい、こう思っております。

○高木(美)委員 ありがとうございました。
 やはり生涯にわたる女性の健康を確保する、そういう意味で、私は、本当に意識を持っている、特にこういう性というものに目覚める、目覚めるのはもっと早いわけですけれども、一番大事な予防行動をとらなければいけない、そういう中学生という年代、ここの教育がやはり生涯健康の出発点であるという、こうした視点をお持ちいただきたいと思っております。
 そのために、やはり授業をだれが行うかという、このことも大事でございまして、学校の養護教諭の方であるとか、もしくは保健所の方、また、婦人科の医師等に行っていただく。その際に、できれば、もし親にも言えない心配なことがあったら私のところにいらっしゃい、こういうメッセージを、また、スクールカウンセラーの先生でもいいですよと、やはり何かあったときにどう対応するかという、ここまでメッセージを伝えておいていただきたいと思います。
 集団的な、総合的な取り組みと、あと個別のカウンセリング、この両方をしっかり取り組んでいただきたいことを最後にお願いいたしまして、質問を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

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