「児童虐待」について

2010.8.18

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 実に痛ましい、そしてまたやるせない事件が起きました。三歳、二歳のお子さんの心中を思うと、もういたたまれない思いでいっぱいでございます。

 しかし、こうしたことを二度と起こさない、その決意できょうは閉会中審査が行われたわけでございます。

 私は、先ほど来、園田先生そしてまた馳先生のお二方の質疑を伺いながら、恐らく主要なところはこのお二方がお聞きになるだろうなという、そんな思いできょうは臨ませていただきました。わずか二十分でございますので、簡潔に質問をさせていただきたいと思っております。

 ただ、先ほど来伺っておりまして、やはりこの児童虐待の問題、ただ単に厚生労働省だけではなく、それに関連する警察庁、そしてまた総務省、また文科省等々の多様なネットワークが必要であるということは周知のとおりでございます。

 そこで、荒井大臣に私はきょうこれをお願いしたいと思いますが、児童虐待につきましては政府を挙げて取り組むべきではないかと思います。

 例えば少子化社会対策会議、この会長は内閣総理大臣です。また、子ども・若者育成支援推進本部、本部長は総理大臣です。省庁縦割りではなくて、総理のもとに、こうした会議のもとに専門部会などを設置しながら、省庁横断の、厚生労働省をこういうふうにして支える、またパンク寸前の児童相談所をこのようにみんなで支えていこうではないか、こうした専門部会などを設置し、対応を協議すべきであると考えております。

 また、あわせまして、従来の子ども・子育て応援プランでは、その中に、児童虐待死ゼロという、撲滅の明快なメッセージを入れておりました。それでも今こうしてなかなか進まないわけでございますけれども、やはり政府の方向性といたしまして、児童虐待死の撲滅を目指す、これをまさに政治の強いリーダーシップで掲げていただきまして、総理みずからこれに取り組む、こういう姿勢をお示しいただくことは、子育て支援に苦しむ方たちの究極のセーフティーネットにもなりますし、そうした点を踏まえて、国を挙げて取り組むべきであるということを大臣に申し上げさせていただきたいと思います。

 お考えはいかがでしょうか。

○荒井国務大臣 今高木議員からお話しのとおりでございますね。私も今話を聞いていて、本当にこの児童虐待というのは痛ましい、悲しい事案だなという思いを強くしております。

 そういうこともあって、この七月には総理大臣を本部長とする子ども・若者育成支援推進本部というのをつくりましたし、また内閣府としては、十一月に全国少年健全育成強化月間というのを、これは毎年やっているものですけれども、その中でも、ことしは特に児童虐待の予防と対応というものを重点項目として強化月間にしたいというふうに思ってございます。

 この事案あるいは虐待の話というのはいろいろな関係がありますね。格差の話あるいは所得の低廉さとか、そういうものも根底にあるでしょうし、あるいは、若いお母さんが子育てのノウハウを、昔ならば、おじいちゃん、おばあさん、まあおばあさんですか、おばあさんから教わっていたのが、そういう機会がなくなってしまったとか、あるいは、地域全体で支え合っているという仕組みが非常に希薄になってきてしまったとか、そういう社会全体の大きな変質というようなものも根底にあるのではないのかなという、そんな気持ちがしました。

 これを解決していくのは、まさしく、先生おっしゃるように、縦割りではなくて横割りの大きな仕組みというか、そういうものが必要なんだと。そういうことを担うのが内閣府、私のところでございますので、そんな方向でこれから励んでいきたい、努力していきたいと思ってございます。

○高木(美)委員 御決意はよくわかりました。

 したがいまして、具体的に厚労省と警察庁をどのようにつないでいくのか、またどう知恵を出し合っていくのか、具体的な会議を立ち上げていただきたいと思います。これらの会議のもとの専門部会、もしくはまた違う名称で構わないと思いますが、何かしらの検討をぜひ加えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 続きまして、先ほど来ございましたが、私も大阪の府議会議員、また市議会議員、うちの党の議員からさまざま要望を受けました。また、こちらからも伺いました。

 一つは、五回も現場の部屋を訪問しながらなぜ調査できなかったのか、当然、マンションの管理人、オーナー等の協力が得られる手だてはなかったのか、さまざまな点があります。こうした点につきまして、何点か順次伺ってまいりたいと思います。

 まず、警察との連携の問題でございます。今申し上げました点につきまして、警察庁のお考えを伺いたいと思います。

○樋口政府参考人 大阪の今回の事案に関しましては、通報の回数でありますとか通報内容等から総合的に判断して、現場の緊迫性が本当に推測できたのかどうか、先ほども申し上げましたけれども、なかなか詳しい検証がなければ難しいところだろうと存じます。

 ただ、警察といたしましては、要請があれば、警察としての権限、警察官職務執行法内の権限に基づいて警察ならではの措置をとり、安否の確認等をするということもあり得たのではないかと考えておるところでございます。

○高木(美)委員 先ほど馳委員から、四十八時間、目視できない場合は、これはまさに虐待が行われている、命に及ぶととらえて対応すべきではないか、警察に応援を要請すべきではないかという話もありました。私も、これは必要な点であると思います。

 ただ、一方で、今、新聞報道の解説では、臨検、捜索につきまして、二年間で四万四千件の通報があった、きょうはその資料を用意させていただきましたので順次ごらんいただきたいと思いますが、その通報に対して臨検が行われたのは三件のみである、今回の事例を踏まえて、状況がつかめないという場合には臨検を活用するよう早急に徹底すべき、こうした意見が強くあります。また、あわせて、手続の煩雑さを現場の実態に即して簡素化すべきだ、こういう意見があります。私は果たしてそうなのだろうかという疑問を持ちます。

 このことにつきまして、厚労省の見解を簡潔にお願いしたいと思います。

○細川副大臣 今、委員御指摘の臨検、捜索の制度につきましては、十九年の児童虐待防止法の改正、これは議員の皆様方の議論によって議員立法で改正されたところでありますけれども、この臨検、捜索につきましては、いろいろな要件があって、しかも裁判所の許可状をもらって行う、こういうことになっております。

 その要件が定められておりますのはなぜかというと、御承知のように、憲法三十五条という規定がありまして、住居の不可侵ということもありまして、あくまでもこれは例外的な規定なんだ、こういう立法の趣旨でもございます。そういう立法の趣旨をかんがみて、この臨検、捜索ということも行わなければならないというふうに私ども考えております。

 ただしかし、その一方、子どもの安全確認が実現できないような場合には、この新しい制度を利用いたしまして、しっかりと子どもの保護を実現するというふうに努めていかなければいけないと思っております。

○高木(美)委員 この資料をごらんいただきますとおわかりのとおり、委員各位にもごらんいただきたいと思いますが、通報があります、また知事の出頭要求、警察の援助があり、立入調査、再出頭要求、そしてその後に、あくまでも保護者の執拗な反対、また扉の施錠等によって立入調査を行わなければならない場合、こういう形で、平成十九年の改正におきまして、臨検というものがここで設けられたわけでございます。

 このときに、実は我が党の中でもう一つの議論がありました。これをこのまま入れてしまうと、むしろ、警察に対しての協力体制、これが弱くなってしまうのではないかという懸念です。ここにありますとおり、立入調査、最初の警察の援助、そして最後の臨検があればこれで十分できるという話になり、むしろ、現場でやらない理由をつくってしまうことが生まれてしまうのではないか、こういう懸念でございます。むしろ、現場で運用できるのではないかという考え方もありました。

 現実、児相の援助要請によりまして警察官が同行した件数を伺いました。厚労省の調査では、平成十九年、三百四十二件、翌年、二百五十五件に減っております。また、警察庁の調査によりましても、平成十九年、二百八十九件、二十年、二百二十八件、若干減り、そして二十一年では百四十九件と激減しております。

 明らかにこれは警察との連携が弱まっているのではないか、私はこのような懸念を抱かざるを得ません。むしろ現場の連携を推進すべきであって、それに対して、この臨検という制度をつくったために、ここで、現場の強い協力関係を進めなければいけないところが、その推進が弱まってしまったのではないかと懸念をしております。

 一方で、警察と児相、また児童福祉部局との人事交流もずっと行われてまいりました。しかし、まだこれも二十四道府県でございます。

 「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について」という社保審児童部会専門委員会の第六次報告が出ておりますが、死亡事例の検証を実施したのは四分の一の事例であります。この検証がなされた実施主体は、児相であり、市町村が中心です。警察はほとんどそこに参加をしていないという現実があります。

 私は、こうした現場の連携をやはり進めるべきであり、むしろ警察のスキルを活用しまして、連携と援助を進めるべきと考えております。厚生労働省、また警察庁の見解を伺います。

○山井大臣政務官 高木委員にお答えを申し上げます。

 安全確認ができなかった場合や安全確認を行う過程における警察への援助要請との連携については、児童相談所運営指針や子ども虐待対応の手引きにおいて示しております。  やはり、今回の事例においても、警察との連携を含め、まだまだ課題が現場では多いというふうに考えておりますので、さらに連携が強化できるように取り組んでまいりたいと思います。

○樋口政府参考人 御指摘のように、特に児童相談所との協力連携が大変重要であると考えておるところでございます。警察といたしましても、児童相談所から要請があればいろいろな段階で必要な援助を行う、これはもう当然のことでございます。

 加えまして、特に、命を救うといったことが警察にとりましても最も重要な責任であると考えてございますので、事態が緊迫しているような場合においてその状況判断が的確に間違いなく行われるように、ここのところが最大のポイントだと存じますけれども、日ごろから現場レベルでの児童相談所との協力連携をさらに深めていく必要があると考えてございます。

 そういった観点からいたしますと、個別事案の検証作業に対しましても、警察として参加させていただくことが望ましいと考えておるところでございます。

○高木(美)委員 ただいま、検証事案につきましても警察も参加してというお話もありました。こうした点を踏まえて、やはり同じことを二度と繰り返さない、そのための検証を強力に進めていただきたいと思います。

 もう一点は、この資料にありますとおり、家庭訪問しても会えない等の場合、知事の出頭要求というのをかけることもできるとしております。この出頭要求につきましては、児童虐待防止法の第八条の二第二項に、「当該児童の保護者の出頭を求めようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護者に対し、出頭を求める理由となった事実の内容、出頭を求める日時及び場所、同伴すべき児童の氏名その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない。」とあります。

 このような内容ですが、今回の事例につきましては、住所と理由しかわからない、こういう状況でございます。それでも実施することが可能なのかどうか。また、今後、こうした「厚生労働省令で定めるところにより、」と出ておりますが、これをもっと使い勝手をよくするために、この省令の改正をすべきではないかと考えております。見解を伺いたいと思います。

○山井大臣政務官 高木委員にお答えを申し上げます。

 今回の事例は本当に不明な点が非常に多かったわけですが、保護者や児童の特定や、児童虐待が行われているおそれがあると認められることは必要でありますが、住民登録のないような事例において、保護者と接触できないような事例も例外的にはあることから、あらゆるケースにおいて氏名の判明がないと実施できないものではないというふうに私たちは考えております。

○高木(美)委員 その内容につきましては、恐らく省令で、これだけきっちりと書かれていますので、ある程度の、省令をこのように改正するとか、またそこで弾力的な運用のために大臣から通達を出すとか、さまざまなことが必要かと思いますが、その点は具体的になされるのでしょうか。

○山井大臣政務官 今まさに、安全確認のために何がハードルであるのか、また、それをどのようにクリアしていっているのかという現場の事例を集めて、九月末までに整理しようというふうに考えております。

 子どもの命を守るための児童虐待防止法というのが、私も提出者の一人でありましたけれども、なぜかなかなか現場ではうまくワークしていないという、本当に涙が出るような現状があるわけでありまして、高木委員の御趣旨を踏まえて、やはり出頭要求というものが、速やかに、スピーディーに、的確にできるように、改善を考えてまいりたいと思います。

○高木(美)委員 続きまして、母親の育児への相談体制の充実につきまして、最後の質問になるかと思います。

 やはり、虐待が起こる温床といたしまして、さまざまなケースがありますが、今回も、周りに育児の相談をできる人がいなかったという供述があります。ただ、今回は殺人容疑まで進んでいるケースでもございますが、これまでのケースの検証でも、地域社会との接触について、ほとんどない、乏しいという方が七割近く、そしてまた、子育て支援事業の利用もなしといった方が六割を超えている。いわば育児不安、孤立から発しているわけですが、この相談体制の充実が急務であると思っております。どうしても福祉の支援に近づかない、自分はだめな母親だと言われたくない、こういうお母様たちにどのように支援の手を差し伸べていくかということが急務であると思っております。

 我が党も家庭訪問つきの相談支援事業をずっと主張してまいりまして、平成十九年から、生後四カ月までの全戸訪問事業、こんにちは赤ちゃん事業、また、育児支援家庭訪問事業の実施を進めているところでございます。

 しかし、平成二十一年度までの全国市町村の実施率はまだ八四・一%にしかなっておりません。一〇〇%実施されるように、未実施の市町村にてこ入れをすべきだと考えますが、厚生労働省の見解を伺います。

○山井大臣政務官 高木委員にお答えを申し上げます。

 先ほど馳委員にも答弁させていただきましたが、児童相談所や公的機関が余り関与をしていなくてお亡くなりになられる虐待死というのがふえておりまして、その意味では、公明党、そして高木委員が今までリーダーシップをとっておられます、この乳児家庭全戸訪問事業、こんにちは赤ちゃん事業というのは非常に重要であると思っております。まだ約一六%の市町村が未実施でありますので、ぜひともてこ入れをして、一〇〇%を目指すように心がけていきたいと思います。

○高木(美)委員 あと一分ございます。

 最後に、児相の共通番号は十けたでございます。覚えにくいというお声が圧倒的に多くございます。一一〇番もしくはシャープ八〇〇〇番のように覚えやすい番号にすべきだと考えます。大阪からも強いその要請がございました。細川副大臣の見解を伺います。

○細川副大臣 確かに、けた数が多いということでなかなか覚えにくいというところはありますけれども、しかし、これを三けたの数にするにはなかなかコストもかかるということで、今の共通番号の〇五七〇、こうすればコストがかからないというようなことでこの共通番号にしているということです。

 それで、これはまだ始めてから時間は余りたっていないんですけれども、利用の件数がふえておりまして、半年くらいで四千五百幾らも利用されているということで、こういう番号を国民の皆さんに周知徹底させていただければ、多少番号は長いですけれども、国民の皆さんにもわかっていただけるのではないか、利用していただけるというふうに考えております。

○高木(美)委員 やはり、子育てに困るお母様たちが、今回のような事件を起こしたお母様たちが、その番号にかければいいんだなと。確かにコストは今十億ぐらいというふうにおっしゃる方もいらっしゃいますが、まさに、これはお金で人の命が何とかなるのであれば、厚生労働省、いろいろさまざま予算が苦しいところはもう十分承知でございますが、後押しもさせていただきますので、ぜひ頑張っていただきたいことを最後に申し上げさせていただきます。

 また、通告させていただきながら質問できなかった各省庁の皆様、大変恐縮でございます。ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

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