「復興特区法案」について

2011.11.18

○高木美智代君 公明党の高木美智代でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました東日本大震災復興特別区域法案について質問いたします。(拍手)

 東日本大震災から、既に八カ月が過ぎました。被災地においては、多くの課題が山積し、新たな問題も次々と発生しています。被災者の方々の不安と苦しみは、厳しい冬の到来を前に、深まるばかりです。

 被災地では、法案成立が一日早ければ一日早く復興が進むと、第三次補正予算、復興特区法案、復興庁設置法案の成立を待ちわびています。本格復興に向けて、やっと今国会で提出されたわけですが、本当に、遅過ぎると言わざるを得ません。

 政府には、どこまでも被災地の方々の思いに立った早期の予算執行と復興の事業展開ができるよう、最大限の努力と強い決意を求め、法案について具体的に質問いたします。

 復興特区、復興庁の設置、復興債は、大震災からの復興のかなめとして、公明党が一貫して訴え、復興基本法に盛り込まれたものです。

 中でも、復興特区制度の早期実現に向けては、八月二十四日、政府に提言を行い、次の主要項目を提案しました。一つ、被災企業の再生と企業誘致を推進するために大胆な法人税等の特例措置を講じること、二つ、被災自治体での土地利用再編の手続を一元化すること、三つ、復興特区ごとに国と地方の協議会を設置すること、四つ、自治体が定める条例により法律上の規制を緩和、適用除外できる上書き権の特例の四点です。

 この公明党の提言の大半が盛り込まれたことは一定の評価をするところですが、この中で政府の法案に全く盛り込まれていないのが、四番目の条例による法律の上書きについてです。

 被災地の状況は千差万別です。それぞれの自治体独自の自主的な取り組みを後押しし、かつ迅速な復興を進めるためには、阻害する法律の規定を自治体が定める条例により取り除き、一日も早い復旧復興に資することが本来の目的です。

 そこで、まず、復興担当大臣に伺います。

 復興推進計画の策定や実施の過程において、この復興特区法では想定しなかった課題が出てくるはずです。その際、地方の意見、要望を柔軟に受けとめ、速やかに法改正などの法的措置や政省令等の改正などを実施して課題を解決し、地方の提案を実現させることが最も重要と考えます。

 そのために、この法律にどのような枠組みが設けられているのか、また、その実効性を確保するためにどのように取り組まれるのか、御決意とあわせて伺います。

 自治体を後押しするためには、政府のこうした取り組みだけではなく、国会が関与を強め、国を挙げて取り組むことが必要と考えます。そのための具体策として、議員の皆様に、以下の三点を提案いたします。

 第一点目は、この法律では、法や政省令等による規制の緩和が必要な場合、自治体は国と地方の協議会に対し新たな提案ができるとされております。同時に、自治体から国会に対して、同じ内容での特別の意見書を提出していただいてはいかがかと考えます。地方自治法第九十九条による通常の意見書とは別に、仮称、復興特別意見書として定め、被災自治体から国会に直接意見や提案を伝えられる手段を強化するのです。

 二点目は、国と地方の協議会に提出された新たな提案等について、国会は、政府から対応の途中経過や結果の報告を受けることとします。国会による監視機能を働かせるためです。

 そして、三点目に、地方から提出される、仮称、復興特別意見書の受け皿として、国会における特別立法チームの創設です。これは、例えば復興特別委員会のもとに特別立法小委員会として設置し、閉会中であっても常時対応できるようにします。例えば、国と地方の協議会からの報告をチェックし、立法が必要にもかかわらず処理がおくれていたり省庁の抵抗のために進まない等の場合、この小委員会が中心となって、速やかに議員立法として成立を図るというものです。

 その結果、地方自治体は、国会もしくは政府による法的措置を終えた後、必要に応じて条例を速やかに制定すればよいこととなります。

 私は、この新たなスキームを、非常時における実質的な条例の上書きであると考えます。ぜひとも、各党各会派の御賛同をいただき、実現してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 復興担当大臣、いかがでしょうか。大臣の答弁を求めます。

 復興を支える専門人材の活用、派遣について伺います。

 中小規模の自治体から、復興推進計画を初めとする三種類の計画の作成に不安の声が聞こえます。この八カ月間、不眠不休の自治体関係者を支える計画策定への人的支援が必要です。

 また、事業費規模で一兆九千三百七億円という多額の復興交付金が計上され、ハード、ソフト両面に使えるとなっていますが、道路、土地、農業農村整備などのハード面に流れやすい傾向が懸念されます。ソフト面である、新たなハザードマップ作成やまちづくりの長期的な将来展望などの事業は、専門知識を要し、手間と時間が必要となるからです。それらを支え、将来の持続的な雇用の創出にまでつなげる専門人材が不可欠です。

 このままでは、コンサルティング会社に丸投げや、悪質な企業の参入を許してしまいかねません。それらを防止し、国民の税金を正しく使うためにも、公務員、公務員OB、民間といった専門人材の活用、派遣が必要ではないでしょうか。復興担当大臣の答弁を求めます。

 先日、被災三県と茨城県の担当者にお集まりいただき、特例措置について御意見を伺ったところ、プロセスの煩雑さを指摘する声が多数寄せられました。復興特区法の実施手続の簡素化についてどのように取り組まれるのか、復興担当大臣の見解を伺います。

 路線価の変更と土地利用の再編について伺います。

 今月一日、東日本大震災による被災地の地価変動を反映した路線価が国税庁から公表されました。それによりますと、津波被害を受けた太平洋沿岸の地域は、路線価が軒並み七割を超える減少となっております。路線価の下落幅が大きいことにより、税負担が軽くなる場合もある一方で、地価相場などに影響を及ぼす懸念があります。

 高台移転などの集団移転事業や土地利用の再編のために国などが土地を買い上げる場合、今回の路線価は土地の購入価格にどのように影響するのでしょうか。また、土地の買い上げの際の価格決定は何を基準にするおつもりでしょうか。復興担当大臣の答弁を求めます。

 漁業権について伺います。

 今回の特例措置では、基準に合致する、地元漁民の七割以上を含む法人、または地元漁民七人以上で構成される法人がいない場合に、地元漁協に漁業権が付与されることになっています。漁業関係者からは、基準に合致すれば地元漁協よりも優先的に法人が漁業権を得ることになるのではないかと心配の声が上がっています。今回の特例措置の考え方について、農林水産大臣に説明を求めます。

 復興特区制度は被災地域の一日も早い復興が目的であるわけですが、盛り込まれた規制の特例措置等を、今後、多くの自治体の先例として、過疎化が進む地域を初め日本全体に普遍化すべきではないかと考えます。日本の行政のあり方として、自治体に権限を移し、地方分権を進める大きなスタートとなる試みととらえますが、官房長官の見解を伺います。

 震災復興に当たっては、復興基本法に定めた基本理念である、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指し、少子高齢化等の我が国が直面する課題や、人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取り組みが行われるべきこと、さらには、我が党が提案した、女性、子供、障害者等を含めた多様な意見が反映されるべきことといった高い理念の実現を目指すことが定められています。

 復興特区制度では、日本の未来にプラスとなる事業を積極的に推進すべきです。例えば、再生可能エネルギーの推進や、農地の大規模化等の事業をどのようにつくっていくのでしょうか。また、現在の取り組みでできるのでしょうか。未来につながる特区をつくるための取り組みについて、官房長官に伺います。

 最後に、本法案と密接に関連する復興庁について伺います。

 復興庁設置法案で大臣を置くこととなっていますが、権限が弱い。その議論は今後の国会審議になりますが、議員修正についてどのような姿勢で臨まれるのか、官房長官のお考えを伺っておきたいと思います。

 被災地の復興は心の復興からと、私が通う福島の方たちから聞きました。みずから被災しながらも周囲を励ます方たち、不安と戦いながらも地域のために働く方たちなど、被災地の温かい、親切な、懸命な姿に触れるたび、今いる国会議員として、いつ働くのかとの決意を新たにしております。

 被災地の方たちの心に寄り添い、心に届く支援のために全力で私も働くことをお誓いし、私の質問を終わります。(拍手)

    〔国務大臣平野達男君登壇〕

○国務大臣(平野達男君) 高木美智代議員から、私には五問、質問をちょうだいいたしました。

 まず、地方の提案を実現させるための仕組みと実効性の確保について御質問をいただきました。

 本法律案では、法施行後、地方において必要性が認められた特例につきまして、地域の提案に基づいて、国と地方の協議会での協議を経て、迅速に追加、充実する仕組みを導入することとしております。

 国と地方の協議会は、現場本位の協議を行い、迅速に成果を得るため、現地で開催することとし、被災地の立場に立って運営することとしております。

 さらに、地域の要望の実現に向けまして、御提案申し上げている復興庁が、関係省庁に対し一段高い立場から強力なリーダーシップを発揮して対応してまいります。

 復興特区法案に関しまして、復興特別意見書、あるいは、国会の関与の強化等の実質的な条例の上書きということに関しての御提案をいただきました。

 いただいた御提案は、国会を含め、国を挙げて被災地支援を強化するためのものと受けとめさせていただきました。法案修正を伴う御提案ということでありますれば、政府としましては、法案を国会に提出した以上、その修正については国会での議論にゆだねられるものと考えております。

 なお、いわゆる条例による法律の上書きにつきましては、唯一の立法機関である国会に対して地方公共団体に立法権限の一部の移譲を求めるものであり、政府提案として国会に提出することは控えるべきとの考え方に基づき、復興特区法案には盛り込まなかったところであります。

 被災市町村への人的支援についての御質問をいただきました。

 御指摘のように、三次補正予算が成立し、特区法に基づき各種事業が実施されるに当たりまして、専門的な人材も含めまして、事業主体となる市町村への人的支援を行うことが重要でございます。

 これまでも、人的支援については、被災市町村を支援するため、国家公務員の派遣を行うとともに、地方公務員につきましても、全国市長会、全国町村会の協力を得まして、派遣の仲立ちを行ってきたところであります。

 今後必要となる事業に精通した人材につきましては、関係省庁や県とも連携しながら、被災市町村で生じる人的ニーズを把握するための取り組みを今進めているところでございまして、今後、被災市町村において必要な体制が構築できるよう、これまでの派遣システムのさらなる活用とあわせまして、全力を挙げて支援してまいります。

 実施手続の簡素化についての御質問をいただきました。

 復興に当たっては、迅速にその取り組みが進められるよう、さまざまな手続の簡素化が行われることが重要であると認識しております。

 このため、土地利用再編に伴う法手続など、さまざまな手続を簡素化する特例を設けるとともに、規制、税、財政上の特例等の適用に必要な計画については、現地に設置される復興局においてワンストップで対応することとしております。

 土地の買い上げ価格の設定についての御質問をいただきました。

 先日、国税庁が公表した路線価に係る調整率は、納税者の申告の便宜及び課税の公平等の観点から、震災の発生直後の価額を算定するために用いられるものでありまして、震災後の社会インフラ等の復旧や地域経済の回復等の状況は加味されていないことから、土地の購入価格への影響について一概には申し上げられないと考えております。

 また、防災集団移転促進事業や公共事業によりまして被災した土地を取得する場合におきましては、契約締結時における正常な取引価格で取得することとし、事業主体である地方公共団体が、適切な不動産鑑定評価などを参考に評価、決定することとなっております。

 その際、災害の発生するおそれや、災害危険区域が指定された場合の建築の禁止、制限の内容及び程度を勘案するとともに、復興計画等による土地の効用の回復の見通し等にも留意して、買い取り価格を評価、決定することになるものと考えております。

 以上でございます。(拍手)

    〔国務大臣鹿野道彦君登壇〕

○国務大臣(鹿野道彦君) 高木議員の御質問にお答えいたします。

 漁業権の特例措置の考え方についてのお尋ねでございます。

 被災地の復興に当たりましては、地元漁協のもとで、地元漁業者による復興を支援するのが基本と考えております。しかし、深刻な被害によりまして、地元漁業者のみでは資金や担い手等の確保が困難なことから、地元漁業者が主体となりつつも、外部の企業とともに復興を進めることを考えなければならない地域も存在いたします。

 このため、漁業権に係る特区制度の適用地域について、地元漁業者のみでは養殖業に必要な施設の整備や人材の確保等が困難な区域に限定した上で、現行漁業法の優先順位の規定にかかわらず、地元漁業者が主体の法人に対して、知事が直接免許を付与できるように措置いたします。

 なお、地元漁業者が主体の法人が免許申請した場合であっても、必ずそれらの者に免許を付与しなければならないというものではなく、知事の判断により、漁協に免許を付与することのできる仕組みとなっているところであります。(拍手)

    〔国務大臣藤村修君登壇〕

○国務大臣(藤村修君) 高木美智代議員にお答えをいたします。

 復興特区と地方分権、そして未来につながる特区への取り組みについて御質問をいただきました。

 復興特区制度は、地域における創意工夫を生かして行われる復興に向けた取り組みを推進することとしているものであり、高木議員のお話のとおり、地方分権を進めていく上においても大いに意義のある制度であると考えております。

 また、今回の被災地域の復興への取り組みについて、再生可能エネルギーの導入や競争力のある農業の実現など、今後日本が解決しなければならない課題を先取りして、解決する成功例を創出することが重要であると考えております。

 復興特区制度により、規制の特例や税、財政上の特例等を活用していただくとともに、さらに、国と地方の協議会等を通じて必要な特例の充実を図ることにより、こうした先進的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 復興庁の権限についての御質問をいただきました。

 復興庁設置法において、復興庁は、勧告権や各省の復興関係予算の要求の調整権を含む強い総合調整権限のみならず、実施事務として、道路、病院、学校施設、漁港建設等の復興のために各省が行う補助を横断的に一括する復興交付金、各省が担う規制、制度や税制等に切り込み、その特例を実現する復興特区制度を担うなど、強力な権限を付与し、被災地のニーズにワンストップで対応できるように配慮しております。

 今後、真に被災地の支えとなる復興庁となるように、国会における御議論の結果を受けまして、真摯に対応してまいる所存でございます。(拍手)

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