「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律案」について

2012.3.7

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 まず初めに、本法案をお取りまとめになられた関係者の皆様に心から御礼を申し上げるものでございます。

 先ほど来、プログラム法というお話がございました。それをどのように実効性を持たせていくのか、理念法で終わらせずに、今全国の被災していらっしゃる方たちが期待をしていらっしゃるような、そういう法律に磨き上げていくか、私は、この質疑はまだまだ必要であると思っております。きょうは、そのために何点か質問をさせていただきます。

 持ち時間が短いもので、大変恐縮ですが、簡潔な答弁をいただければありがたいと思っております。

 まず、参議院で先議をされまして、第十三条第二項の健康調査につきましては、福島復興再生特別措置法と比較をしますと、一つは、国の責任で県外の方にも同様の健康調査が行われるべき、また二つ目に、少なくとも子供に対しては生涯にわたって調査が行われるよう国が財政措置を行うべき、こうしたことが明確になったと認識をしております。

 また、現在、県の自治事務で行われています福島県民健康管理調査につきましても、実施主体の変更を検討する必要性が答弁されているようでございますが、この理念法を実施法として一つ一つ確立していかなければならないと考えます。

 まず、提案者にお伺いいたします。

 今後の進め方につきまして、どのようにすべきとお考えなのか、見解を求めます。

○加藤(修)参議院議員 今回の法案作成の過程におきまして、提案者といたしましては、健康調査は国の責任をさらに明確にすべきと考えているところであります。

 どのようにして健康調査をより確実に行っていくかを話し合うに当たりまして、当初の野党案であります子ども・妊婦保護法案とセットにいたしまして、実は野党六党は、平成二十三年東京電力原子力事故に係る健康調査等事業の実施等に関する法律案、これを参議院に既に提出しております。このいわゆる健康調査等法案は、健康調査等事業を法定受託事務として実施するものでございますが、現時点においては一つの実施法案として示されているところであり、たたき台として国会で御審議をいただくことによりまして、福島の方あるいは被災者の方、何よりも子供の健康を守れるよう取り組みを進めていただきたい、このように考えている次第でございます。

○高木(美)委員 ありがとうございます。

 重ねてお伺いいたします。

 私も、昨年の七月からですが、我が党は県の担当を決めまして、福島に月二回、今もずっと通わせていただいておりまして、いただいた御要望の実現、一つ一つともかく闘わせていただき、お返事をさせていただいております。

 そこで、福島の特措法のときもそうでしたが、やはり国の責任を法律で明確にしましても、誰が責任を持ってやるのか、これをはっきりいたしませんと、どうしても国というのは、恐縮ですが、譲って譲って、誰かがやるだろうというそのすき間にいろいろなものを落とし込んでしまうという傾向性もあります。

 そこで、この法文の中に主務官庁それから主務大臣が明記されていないという、この理由は何かおありなんでしょうか。被災者生活支援等施策の具体的な推進に当たりましては、復興庁、文科省、厚生労働省等々、多くの関係省庁が関係しております。また、この施策をどこの省庁が中心となって進めること、定めることを想定していらっしゃるのか、見解を伺いたいと思います。

 こういいますのは、やはり施策の責任主体となる主務官庁がはっきりしませんと、法律案でさまざまな、基本方針の策定も書かれていますし、それに基づいた施策実施に至るまでに実効性が弱まってしまうのではないかという懸念があるからでございます。提案者に答弁を求めます。

○加藤(修)参議院議員 お答えいたします。

 この法案において、主務官庁、主務大臣を明記しなかった理由ですが、まず、政府全体で取り組んでいただきたい、そういう思いが一つはございます。また、法案に規定している施策は多岐にわたっておりますものの、個々の施策の内容から所管する官庁や中心となる省庁は明らかになるため、特に主務官庁を明記しなくても足りる、このように考えた次第であります。

 もっとも、基本方針については、復興庁が、東日本大震災復興基本法第二条の基本理念にのっとり、主体的かつ一体的に行うべき東日本大震災からの復興に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ること、これを任務としておりますし、中心的な役割を果たしていただきたい、このように考えております。

 また、この法案に規定しました施策の重要性からすれば、実効性が弱まることがあってはならないと考えておりますし、そのためにも、この法案が成立した暁には、具体的な措置が関係省庁によって適切に行われることになるか国会がやはりチェックをしていかなければいけない、また、政府へ働きかけを行っていくことが極めて重要である、このように考えているところでございます。

○高木(美)委員 提案者にもう一回確認なんですが、基本方針をつくるということは、その後の実効性も、先ほど加藤議員がおっしゃったように、チェックをするという機能ももちろんあわせ持つわけでございまして、当然その中心官庁というのは私はやはり復興庁が担うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。加藤議員にお伺いします、それでよろしいですか。

○加藤(修)参議院議員 そのようでございます。

○高木(美)委員 今の提案者からの答弁を受けまして、政府の見解を平野大臣に伺いたいと思います。

○平野(達)国務大臣 東日本大震災からの復興に向けての基本方針、あるいは先般可決いただきました福島特別措置法に基づく基本方針、これは復興庁がまとめております。復興庁が、まとめる際には各省の施策を統合する、意見を聞いてそれを統合するということで基本方針をまとめております。

 今回の法律も、これが成立をするということであれば、私どもは、復興庁がまずこの基本方針を定めるということになるんだろうと想定をしております。

 これはもう言うまでもなく、あらゆる施策、国を挙げて、政府を挙げて取り組むということでありますから、各省が持っている施策を責任を持って実行してもらう、そしてその全体の調整は復興庁が担う、この構図は、津波、地震地域の復興、それから福島再生特別措置法でも変わりません。この法律もそういう形で運用していくのがよろしいかなというふうに思っております。

○高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、基本理念について伺いたいと思います。

 第二条第四項におきまして、「被災者に対するいわれなき差別が生ずることのないよう、適切な配慮がなされなければならない。」とありますが、具体的に、提案者である加藤議員はどのようなことを想定されているのでしょうか。

○加藤(修)参議院議員 御指摘のとおり、被災者に対する差別の防止が課題となっておりまして、この法案の施策を講ずる中でも、いわれなき差別が生じることのないよう配慮をされる必要があります。

 例えば、この法案では、支援対象地域からほかの地域に移動する被災者、あるいは避難指示区域から避難している被災者に対し、移動とか避難先の地域での生活を支援するための施策を講ずることとしておりまして、当該施策を講ずる上では、その移動、避難先の地域の住民、地方公共団体の協力が必要なわけであります。そういった協力を得るためには、いわれなき差別が生じることのない環境をつくっておく必要が当然ございます。こうした考え方を明確に示すため、第二条第四項を規定することとしました。

 この法案の各種の施策は、同項の基本理念に即したものとなるように講ぜられることとなりますが、特に第十八条では、放射線等について国民の理解を深めるための施策を講ずるものとしており、これは差別の防止に資するものであると考えております。例えば、学校教育における放射線に関する教育やあるいは人権教育の推進など、必要な教育及び啓発を行うことが考えられます。

○高木(美)委員 ありがとうございます。

 かつて私も、ウクライナからいらした学識者の方と懇談をしましたときに、風評被害とどのように闘ったか、このことを率直に伺いました。一つは、徹底した放射線教育です、正しい知識をともかく与えてもらいたい、もう一つは、マスコミの誤った報道に対して徹底して闘ったことです、この二つを述べていらっしゃいました。

 やはり、第二条のいわれなき差別を防止するためには放射線教育が不可欠であると思います。第十八条では、放射線に関する学校教育、社会教育を含めた施策についての規定が盛り込まれております。

 政府の取り組みの現状と今後の対応につきまして、きょうは平野文科大臣にもお越しいただきました。大変短時間で恐縮ですが、簡潔な答弁を求めます。また、環境省からも副大臣にお越しいただいておりまして、簡潔な答弁を求めたいと思います。

○平野(博)国務大臣 今、高木先生からお話がございましたが、特にそういう人権問題、差別、こういうことが起こらないようにするためにも、しっかりとした正しい認識を持ってもらう必要がある、こういう観点から、放射線教育に関する現実は今どうなっているんだ、こういう御質問だと理解をいたします。

 放射線に関して差別を受けることはあってはならない、こういうことで、児童生徒を初め国民全体が放射線について正しい知識を持つことが極めて重要でございます。

 文科省としましては、放射線に関する教育については、新しい学校学習指導要領の理科において、放射線の性質と利用について新たに示し、全国の学校で平成二十三年度から指導をさせていただいているところでございます。また、文科省として、例えば放射線について正確な知識を学ぶための小中高等学校における児童生徒用の副読本を作成し、配付をしてございます。基礎知識のみならず、放射線等の人体への影響、放射線や放射性物質から身を守る方法などについて学ぶことができるようにいたしているところでございます。

 さらに、教育委員会等に対し、被災した児童生徒を受け入れる学校において、当該児童生徒に対する心のケアや当該児童生徒を温かく迎えるための指導上の工夫、保護者、地域住民の方に対する説明などが適切に行われるよう、いじめの問題などを許さないように、問題を生じさせないように要請をいたしているところでございます。

○横光副大臣 お答えをいたします。

 この法案の十八条に示されております、放射線が人の健康に与える影響等ということでございますが、これは、政府としては、もともと大変重要であると考えておりました。

 今般の原発事故によって、原子力被災者初め多くの国民が健康不安を感じておりますし、こういった健康不安への対策を確実にまた計画的に講じていかなければなりません。それを目的といたしまして、環境省を中心としまして、細野環境大臣を議長として、関係省庁の皆様方の御協力をいただきながら、原子力被災者等の健康不安対策調整会議なるものを設置いたしました。そして、そこにおきまして、去る五月三十一日に、健康不安対策に関するアクションプランを決定したところでございます。

 このアクションプランの重点施策として四つ掲げております。関係者の連携、共通理解の醸成、これがまず第一でございます。そして、放射線による健康影響等に係る人材育成、国民とのコミュニケーション、これは非常に重要であると思っておりますし、これが二番目。そして、放射線影響等に係る拠点等の整備、連携の強化、さらには国際的な連携の強化、この四つを掲げておりまして、担当する関係省庁、文科省や厚労省や復興庁やさまざまな省庁が当面の取り組みについて速やかに着手することといたしております。

 具体的には、まず統一的な基礎資料の作成、これが第一、そしてまた保健、医療あるいは福祉関係者や教育関係者への研修の実施などを行うことといたしておりまして、こうした取り組みを確実かつ計画的に実行することによって、原子力被災者を含め、国民全体に対し放射線による健康影響等についての正しい理解を深めてまいりたい、このように考えております。

○高木(美)委員 ありがとうございます。

 私も、放射線教育、そしてまた政府を挙げてのこうしたいわれなき差別が生じることのないような取り組み、かねてより求めてまいりまして、今このように進められていることを高く評価したいと思います。その上で、さらに実効性を持たせられますように、速やかなお取り組みをお願い申し上げるものでございます。

 この後、済みません、簡潔に加藤議員にお伺いいたします。

 まず、この支援対象地域につきましては、ここをどのように設定していくか、ここがこの法律のかなめになっております。この地域、そして地域外の方、またそこへ帰還される方といった構造になっておりまして、そうしますと、どの省庁がどのような基準で、またプロセスを経て指定をしていくのか、それが法文には書かれておりませんけれども、その理由をどのようにお考えなのか。また、この指定に当たりましてはどこかの省庁の省令で定めていくのか、また、指定に当たりましては関係地方公共団体の長からの意見聴取などの必要はないのか、簡潔な答弁を求めます。

○加藤(修)参議院議員 この法案の支援対象地域の設定には、広過ぎず狭過ぎない適切な範囲を地域の実情を踏まえて決定していく必要がございます。

 また、この法案は、今般の事故に係る放射性物質による放射線が人の健康に及ぼす危険について科学的に十分に解明されていないという認識のもとにおきまして、いわゆる支援対象地域の設定の基準も、多様な事情を総合的に勘案して決めていく必要があると考えられます。そのために、具体的な基準をどうするかにつきましては、政府で定める基本方針を踏まえまして、政府全体の英知を集め、適切に定められるものと考えております。

 なお、提案者といたしましては、御指摘のように、いわゆる被災者となり得る住民等の意見を聞くほか、関係地方公共団体の長から意見を聞くなどにより、国民の理解が得られるような基準を設定することが重要だと考えております。

○高木(美)委員 ありがとうございます。

 基本方針につきまして、二問まとめてお伺いしたいと思います。

 一つは、基本方針につきまして、閣議の決定を求める必要があると考えますが、いかがでしょうか。その方が基本方針に係る国の責任を明確にすることができると思います。

 それからもう一つは、作成するに当たりまして、関係行政機関の長と協議する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○加藤(修)参議院議員 提案者といたしましては、内閣としての意思決定と責任をやはり明確にすべきである、そういうふうに考えておりますので、基本方針については閣議決定を経ることが望ましい、このように考えております。

 また、後者、二番目でございますが、基本方針の取りまとめについては復興庁で行うことを想定しておりますが、基本方針に定める事項は非常に多岐にわたり、複数の行政機関の所掌事務に関する事項が多いことから、基本方針の作成及び変更に当たっては、御指摘のように必要に応じて関係行政機関の間で調整が行われる、このように考えている次第であります。

○高木(美)委員 ただいまの質問につきまして、平野大臣からも答弁を求めたいと思います。

 基本方針についての閣議決定、また作成に当たっての関係行政機関の長との連携でございます。

○平野(達)国務大臣 この法案の趣旨、それから法案提出者の意向、そしてこの委員会での議論等々を踏まえまして、きちんと対応したいというふうに思います。

○高木(美)委員 最後に、経産省の北神政務官に伺います。

 本法案では、東電に対しまして費用についての求償規定は、国はできると書いてありますが、東電に対する協力措置規定はありません。汚染状況の調査とか、また除染の実施などに当たりまして当然協力が必要になると思いますが、この法律が成立したときには、政府はそのようにきちっとお取り組みになられるのでしょうか。

○北神大臣政務官 結論から言えば、しっかり協力を要請していきたいというふうに思っています。

 これは、閣法で放射性物質汚染対処特別措置法というのがありまして、その第五条に、東電みずから誠意を持って汚染状況の調査とか除染をするように規定されておりますし、政府や地方公共団体の協力にも応じなければいけないと義務づけてありますので、しっかりそれで対応していきたいというふうに思っています。

○高木(美)委員 ありがとうございました。

 以上で終わらせていただきます。

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