「被災地の復興事業に伴う土地収用、心のケア等」について

2013.6.13

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、六月三日、岩手の、特に釜石市、大槌町に伺わせていただきました。七時過ぎに東京駅を出発しまして、帰りは七時半近く。この十二時間半近いうち、現地滞在は二時間少しという状況でございまして、いかに岩手の方たちが遠いところから日ごろ陳情に見えたり、また私どもに説明に来てくださったりしているのかと、改めてそのことを痛感した次第でございます。

 私は、ちょっと質問の順番を変えさせていただきまして、また後ほど大臣にも少し御答弁をお願いしたいと思っておりますが、先ほど来議論になっておりました用地取得の加速化に向けまして、土地収用の簡素化についての質問をまずさせていただきます。

 我が党の石井政調会長が、二月七日の予算委員会で、用地取得が円滑に進むように何らかの特別措置を講じるべきではないかと質問をいたしました。

 そのとき、根本大臣初め関係大臣から、具体的な前向きな御答弁をいただきました。例えば、財産管理人制度についても、法務省、最高裁の協力を得つつ、地元の弁護士会、司法書士会、家庭裁判所と前広に相談を実施している、また、土地収用手続については、審査の簡素化あるいは自治体へのきめ細かなノウハウの提供に取り組む、また、釜石市の防潮堤事業を対象にモデル事業を進める中で、具体的な問題、課題、解決策が出てくるので、これを一般的な制度として適用していく等々の御答弁をいただいたところでございます。

 土地収用の手続につきまして、その後どのような改善がなされたのか、伺いたいと思います。

 あわせまして、鵜住居川、また片岸海岸の防潮堤事業につきまして、現地まで私ども伺わせていただいたときに、担当者の方たちから、課題のある土地以外については所有者も協力的で、説明会から二、三週間で早々に契約ができた、しかし、残された相続未了等の土地は、これから収用裁決を受け、手続に一年程度はかかると思う、その間工事に入れない状況が続く、これをいかに早めていくかが課題であるという説明を受けました。

 今後一年とおっしゃっているわけですが、そこまでかかるのかどうか、それをどのように迅速化するのか、あわせて答弁を求めたいと思います。

 国交省からお願いいたします。

○西脇政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地では、防潮堤の建設に収用手続を活用した事例がなかったものですから、ノウハウの不足によりまして手続が長期化するのではないかというような懸念がございました。

 このため、今委員御指摘のとおり、釜石市の防潮堤事業をモデル事業として選定いたしまして、岩手県とか、私ども、あと復興庁、法務省等の関係省庁も現地に行って集まりまして、具体的な課題への対応を図ってまいりました。まず、モデル事業の事業認定の申請書類の作成に当たりまして、被災県からの相談に応じながら、しかも、自治体の職員に並行して実務研修も実施させていただきまして、ニーズに応じたノウハウの提供にきめ細かく取り組んでまいりました。

 この結果、申請書の作成につきましては、県は当初一年から二年かかるのではないかという懸念をされておられましたけれども、モデル事業の選定から短期間で、具体的には相談が始まってから約四カ月程度で、既に申請書類は概成をいたしております。

 また、例えばモデル事業について、土地収用法上の説明会が必要でございますが、これは、他の事業の説明会と兼ねるというようなことを示しまして、予定よりも三カ月程度前倒しで、もう既に開催しております。

 今後、岩手県からは、今月中に事業認定の申請がなされる予定と聞いておりまして、これが行われましたら、私どもの事業認定庁であります東北地方整備局で迅速に、約二カ月程度、通常三カ月かかっておりますけれども、審査を行い、処分を行うということでございます。

 それからもう一点、一般化につきましては、このモデル事業により得られた知見を踏まえまして、今後の収用制度の迅速化に向けてということで、いわゆる被災三県で、事業主体と事業認定庁、収用委員会、三者それぞれに通知を発出いたしまして、認定手続の短縮とか収用裁決手続の円滑化というような措置を講じることといたしております。

 今後とも、いずれにいたしましても、被災地の実情を踏まえるというのが第一でございますので、要望とか実情を的確に酌み取りながら、収用手続の迅速化に最大限努力してまいりたいというふうに考えております。

○高木(美)委員 土地収用法の手続の方はかなり簡素化していただきながら、時期も短縮をしていくということで、そうしますと、私はもう一度答弁をお願いしたいんですが、一年というふうに現地はおっしゃっていますが、今後、例えば事業認定の申請がなされた場合、その後の手続は大体どのくらいかかるか、数字でお示しいただけますか。

○西脇政府参考人 あくまで岩手県から聞いている予定でございますが、今月中に事業認定の申請が出されますといたしますと、六月末でございますから、二カ月程度で認定の処理をしたいというふうに思っておりますので、そうしますと八月の末ということになりますが、それまでに事業認定の手続を終了したいというふうに考えております。

○高木(美)委員 それでは、この手続が終了するということは、当然、収用委員会等の審理も全部終わるということでよろしいんでしょうか。

○西脇政府参考人 収用法の手続を若干御説明いたしますと、事業認定というのは、その事業の公益性なりを認定いたします。その後は、実は一つ一つの土地につきまして、これは県の方の収用委員会の方で裁決をいたしまして、土地の価格とか面積とかを確定して、所有者がおられない場合はそれを供託するとかいう一つ一つの収用委員会の裁決手続に入りますが、それに入るための大前提といたしまして事業認定というのが必要になりますので、まず、その前段階をうちの方で迅速にやっていただく。

 先ほど申し上げましたけれども、迅速化の通達につきましては、県の収用委員会宛てにも、趣旨等、あと具体的な迅速化のやり方なんかについても通達でお願いをしておりますので、この後は、逆に収用委員会の方をなるべく早くやっていただくというようなことも引き続き我々として努力してまいりたいというふうに考えております。

○高木(美)委員 重ねて済みません。そうしますと、この収用委員会自体の手続といいますのは、これは大体どのくらいというふうに見ればいいんでしょうか。最短、最長、いろいろあるかと思いますが。

○西脇政府参考人 実はこれは、一つ一つの土地について個性がございます。ちょっと正確には、もし、ならば後で訂正いたしますけれども、逆に、権利の安定性から、事業認定がございましたら、法律上、一定の期間内に収用の手続に入らなきゃいけないということで、たしか一年だと思います。それを最大三年まで延長できるということなんですが、逆に言えば、なるべくその中で速やかにやっていただくというのが趣旨でございますので、それは、実は土地の数とか地権者の数とかによって変わってくるわけでございますが、なるべく迅速にということで、今答弁したような範囲内でやっていただきたいというふうに我々としては考えております。

○高木(美)委員 やはり、現地で一年とおっしゃっていて、この防潮堤の着工自体が地元の再生の一丁目一番地。この防潮堤ができなければ、その後、住宅をどこにつくるか、再生に向けても動きが始まらない、そこで一年間は工事が始まらない。であれば、一年、まさに復興がその地域においてはもうじっと待つしかない、こういう状況になってしまうわけですので、一年から最大三年までというお話でございましたが、この一年をどこまで短縮することができるのか。恐らく今までのさまざまなノウハウもあるかと思います。

 ただ、先ほどお話ありましたように、岩手では、この土地収用法の手続を使うということ自体が今まで例がなかったという話も聞いておりますので、そこのところをしっかりまた寄り添っていただきながら、モデルケースをどのように完結させていくのか。ぜひとも協議を進めていただきながら、スピーディーな処理をお願いしたいと思います。

 また、一年がどこまで短縮できるのか。これは恐らく、この後の収用委員会の審理も一人で可能にするとか、いろいろなこともお考えのようでございますけれども、この点も含めて速やかな結論をお願いしたいと思います。

 大体、そういうめどが地元で立ちますと、このモデルケースを見合いながらほかの地域も進めているようですので、メッセージになるかと思いますので、またその発信もお願いをしたいと思います。

 それで大臣、午前中の階議員が質問されていた、用地取得を進めるためにということで、確かに、ここで、現地も大変手が足りないという中で頑張っていらっしゃるわけですが、不在者財産管理人の選任についての何らかの措置が必要ではないかという御提案がありました。それに対して大臣は、先ほど、民法の運用解釈を詰めていかなければいけない、理論上詰める必要があるのではないかという御趣旨の御発言をされまして、私も全く同様の考えを持っております。

 六月三日、委員派遣で行かせていただいて以来、このことについて関係各所から私も話を聞かせていただきました。例えば、不在者財産管理人、モデルケースと言われる鵜住居地区、ここの片岸海岸のところで使った例といいますのは、今、わずか二件だけ、そういう状況でもあります。

 また、もう一つは、家裁が相談に応じながら供託とかいろいろな手法を、今までもう既に我が国には蓄積をしながら持ってきている事例等もあります。ただ、そういう事例が、都道府県はもとより、市町村は、なかなかそういうノウハウまで持っていないというのはあるかと思います。

 恐らく、大槌町のように多数の職員の方が被災された、亡くなられたという、本当に痛ましいそういう市町村におかれましては、なおさら、そうした法の処理とか、そこに詳しい方もいらっしゃらないかもしれません。

 私は、もう一歩、大臣がおっしゃる、理論上詰める必要がある運用解釈のところ、そこのところを、今、当然、法務省におきましても、ホームページでもいろいろ出されているわけですけれども、現地の職員の人たちにとって、何ができて何ができないのか、またどこがこうした民法に抵触をしていくのか、地方法務局なり、また家裁なり、そういうところと、私は、もう一回大臣のもとで、これはどのように支援をしていくか御検討いただきながら、できれば、これは出張相談とかという形で、法務局とか家裁が現地の市町村に出かけていって、この人の場合はこうなるとか、ここまで手順が調えばこうなるとか、今モデルケースで展開をしてくださっているようなそういう例につきましても、今ちょうど、皆さん、地域で苦しんでいらっしゃる段階と思いますので、そのような何らかの前に進める措置が必要ではないかと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

○根本国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。

 確かに財産管理制度というのはあるんですね。私も、財産管理制度があるので、これをどう活用する必要があるか。その意味で、住宅再建・まちづくりタスクフォースに、法務省の局長も入ってもらって、あるいは文化財の部長も入ってもらって、全体の関係局長に入ってもらって、用地取得から施行までの一連の手続をいかに具体的に運用上解決するか、そういうタスクフォースをつくりました。

 その中で、財産管理制度も法務省も考えていただいて、財産管理人も、あらかじめ言ってくれれば用意しますよと、先ほど言ったような財産管理人の候補者を選んでもらっています。それから、家庭裁判所の方でも、相談窓口あるいはQアンドA、そういうものもつくっていただけると言われて、やっておりますので、大事なのは、具体的な制度をどう運用していくかですから、そこのさまざまなノウハウを集積して円滑に進むように。

 それからやはり、経験したことのない制度を利用することになりますから、そこは、ノウハウを含めて支援する仕掛けが必要で、その意味で、支援チームを自治体に応援で派遣して、いろいろ相談にあずかってやってもらおうということをやっていきたいと思います。

 それから、先ほどの財産管理制度で、民法上の話で詰めなければいけないと申し上げたのは、利益相反という話がありますので、仮に法改正するとすると、そこがクリアできるか、そこをちょっと立法論として詰めていかないとという趣旨で先ほど申し上げました。ここは民法の考え方ですから、ここは専門的にしっかりと詰めていかなければならないことではないかということで、先ほど申し上げました。

○高木(美)委員 よくわかりました。

 ぜひとも、この支援チームの派遣のところ、特に、私は以前、総合特区法をやりまして、条例の上書き権をどうするかという議論をしましたときに、各市町村に少し話を聞きました。条例をつくるノウハウといいますか、法的な知識のある職員というのは実に少ないということをその現場で実感をいたしました。大きな市がつくったのを横で見ながら条例をつくって、それを市町村で通している、実態はこうなんですよということも改めて知りまして、それだけに、やはりこうした法的な支援チームの派遣というのは不可欠であると思っております。

 また、これが必要なところに必要なときに派遣できますように、ぜひともまた大臣のリーダーシップをお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、心のケアの質問に移らせていただきたいと思います。

 まず、文科省にお伺いしたいと思います。

 私も釜石市に伺わせていただきまして、これまではずっと福島に通い、そして当初のころは宮城に通わせていただいておりましたが、岩手は申しわけないことに初めてでございました。

 釜石の奇跡、防災教育の重要性を世に知らしめたという事実であるわけでございますけれども、また、最近、一般紙にも掲載されておりましたが、児童生徒の心のケアはこれからが肝心なんだ、奇跡と聞くと全てが円満に終わった印象すらあるけれども、それは全く違うんだという関係者のお話もあり、現地視察をさせていただいた一人として、胸つかれる思いでございました。

 やはり、これから、仮設暮らしだったり、また親御さんに仕事がなかったり、顕著になり始めた被災家庭間の復興格差が生徒の心にどう影響するか、この一般紙の指摘というのはそのとおりかと思っております。

 そこで、岩手は、県教育委員会がスクールカウンセラーを学校に派遣し、また、市の教育委員会も独自にスクールカウンセラーを確保したと聞いております。阪神大震災では、震災後、二年から四年に心のケアを必要とする子供たちが多かったと言われております。

 私は、釜石の奇跡は、そういう意味では防災教育ともう一つ、その後の心のケア、これをセットで広げられるべきではないかと考えております。そのための取り組みも国が後押しして後世の参考にしていくべきではないかと考えますが、文科省の対応を伺います。

○久保政府参考人 心のケアの推進につきましては、委員御指摘のとおり、防災教育と並んで極めて大事な課題と考えてございます。

 これまで、スクールカウンセラーの派遣、教職員向け指導参考資料の増刷、配付など、子供の心のケアのための緊急的な取り組みを実施してきたところでございます。

 平成二十四年五月には、東日本大震災による子供の健康状態を把握いたしますために、非常災害時の子どもの心のケアに関する調査を実施いたしました。八月には、その調査結果の一部を活用して、心のケアシンポジウムを仙台市において開催するなど、震災後の子供の心の状態や適切な対応についての周知に努めてきております。

 今後、さらに被災地へのスクールカウンセラーの派遣を引き続き行いますとともに、子供の心のケアに対する適切な対応についての研修会やシンポジウムの開催、それから健康観察やメンタルヘルスの進め方等について解説しました指導参考資料の作成も手がけまして、それの配付を通しまして、学校における子供の心のケアのさらなる充実を図っていきたいと考えているところでございます。

○高木(美)委員 ぜひ、このときに、タイミングを逃さず強化していただきたいと思います。それが一生涯PTSDという形で続くことのないように、手当てをお願いしたいと思います。

 また、厚労省にお伺いいたします。

 大槌町でも言われましたが、震災から二年たち、町民に心身の不調が出てくるころだと思う、生活不活発病や高齢化率の上昇も心配される、高齢者一人一人の見守り制度をつくっていかなければならないと考えているという御指摘でございました。こういう段階で心のケアの実態を把握し、強化すべきと考えております。今後の方向性につきましてお伺いします。

○岡田政府参考人 被災者の心のケアにつきましては、震災によるPTSDの症状が長期化したり、避難生活の継続でうつ病や不安障害の方が増加したりすることが考えられますことから、必要に応じまして適切に専門的医療につなげる体制が重要だと認識しているところでございます。

 このため、岩手県、宮城県、福島県の各県に活動拠点となります心のケアセンターを設置しまして、心のケアに当たる専門職の人材が、被災者からの相談を受けた上で、必要に応じて専門的医療支援を行っているところでございます。

 被災地の子供の心のケアにつきましては、安心こども基金を活用いたしまして、児童精神科医の配置や巡回相談、保育士などの子育て支援にかかわる方々に対する研修を行うなど、被災自治体の実情に応じた取り組みを支援しているところでございます。

 お年寄りなどにつきましては、時間の経過や地域の実情に応じて必要な取り組みを進めていくことが重要だという観点で、地域支え合い体制づくり事業というものを実施しております。これによりまして、被災地のサポート拠点におきまして安心した日常生活を支えるため、きめ細かな相談支援、生活支援サービス、地域交流などを支援しているところでございます。

 また、被災地におきます保健師などの人材確保につきましては、被災地健康支援事業などにより支援をしているところでございます。

 引き続き、これらの支援を通じまして、被災地における心のケアの体制の充実を図っていきたいと考えているところでございます。

○高木(美)委員 最前線の保健師の人材の確保が急務であると思いますので、ぜひその点、しっかり力を入れてお願いしたいと思います。

 申しわけありません、短い時間の質問でございましたので、国交省、中小企業庁、また次の機会によろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

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