避難児童へのいじめ問題について

2016.12.8

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
震災から間もなく五年九カ月を迎えるわけでございまして、私も先般、視察に参加をさせていただいて、人の動きが徐々に感じられるようになってきた反面、まだまだこれからだという、その決意を新たにしてきた次第でございます。きょうは二十分という限られた時間ですので、簡潔に質問をさせていただきたいと思います。
 
先ほど来多くの質問がございましたが、避難児童へのいじめ問題でございます。
 
先般、横浜市に自主避難している中学一年生の男子生徒が学校でいじめを受けていたことを告白する手記が報道されました。また、新潟におきましては、名前に菌をつけて呼ばれていたことなど、全国におけるいじめのさまざまな状況が浮かび上がってきております。それは、子供のみならず、大人に対するものも同様かと思っております。私は、これまで福島に通い続けてきた一人として大変強いショックを受けました。生徒やまた保護者の思いを考えますと、本当に胸が潰れる思いでございます。
まず、文科省の認識と対応を伺います。

○樋口大臣政務官 横浜市に転入をした児童がいじめを受けていたにもかかわらず、学校や教育委員会が適切に対応していなかったことについては、極めて遺憾でございます。
 
文科省といたしましては、先般、義家副大臣を横浜市に派遣し、原子力発電所事故の被災児童生徒に対するケアを注意深く行うこと、重大事態として対応しなかった判断の過程を検証するとともに、改めて重大事態への対処について周知徹底を図ること、そして学校内や教育委員会の組織的な対応について、法令に基づく対応が適切にとられているか確認と体制の見直しを行うことなどを指導したところでございます。
 
横浜市教育委員会におきましても、今後、本事案について検証を行う予定と承知をしておりまして、文部科学省としましても、市の要請に応えまして、職員を派遣し、いじめ防止対策の改善や被害生徒の今後のケアについてきめ細やかな指導助言また支援を行っていきたいと思っております。

○高木(美)委員 私は、これについて二つ対応していく必要があると思います。その原因としても、一つは、教員を含めた、児童たちの背後にいる大人たちの放射線に対する正しい知識の不足と、あと当事者意識のなさ、思いやりのなさであると思います。またもう一つは、心のケアの継続がいかに今後重要か。この二点が必要かと思っております。

まず最初の方ですが、根拠のない思い込みや偏見で差別することは人権侵害でありまして、福島の方たちがこれまで使っていらっしゃった電力は東北電力のものであって、福島第一原発の電力は横浜市を初め首都圏の我々に供給するためのものであったということを忘れないようにしなければいけないと思います。むしろ、自分たちのかわりになってくださっている、そういう思いをやはり首都圏の一人一人が共有すべきだと私は考えております。そういう保護者への働きかけも含めまして、学校は、また政府はさらに努力をしていただきたいと思います。
 
風評被害防止のために、放射線に関する正しい知識の普及啓発が継続的に行われることが重要だと思います。学校現場での放射線教育について、私も副読本の作成、配付などを提案させていただいてまいりましたが、放射線教育の現状について簡潔に答弁を求めます。

○樋口大臣政務官 放射線教育の現状につきまして、学習指導要領において、中学校理科では放射線の性質と利用について、高等学校の物理基礎では放射線の利用とその安全性の問題について指導することとしておりまして、発達段階に応じた放射線についての教育を行っておるところでございます。
 
また、今御指摘のように、平成二十六年三月には、放射線についての科学的な知識の理解を助けるための放射線副読本を、小学校用と中高用の二種類作成、配付いたしたところでございまして、現在もホームページにおいて公開し、その活用を促しているところでございます。また、教員の皆様への研修も行っているところでございます。

これらの取り組みを通じまして児童生徒が放射線についての科学的な知識を持ち、科学的に考え行動することができるよう、放射線に関する教育の充実に努めてまいりたいと思います。

○高木(美)委員 できれば、この副読本、時々、例えば何年に一度とか工夫していただきながら配付していただきたいと思います。

また一方で、教員の方が勉強してそれを指導するというのは、なかなか難儀なこともあろうかと思います。むしろ、DVDとか、またホームページにアクセスをしてそのまま教室で鑑賞できるような、そうした教育番組といいますか、資料を作成してはどうかと思います。
 
お話がありましたように、それぞれの成長段階に応じてわかりやすく、しかも教員も一緒にそれを見て勉強できる、こうした身近さというものがやはり大事ではないかと思いますが、対応はいかがでしょうか。

○樋口大臣政務官 副読本については大変な御支援をいただいて、ありがたく存じております。既にホームページに掲載をし、その活用を促しているところでございます。
 
また、平成二十七年の三月には、副読本の効果的な活用のための参考となるように、モデル授業動画や副読本の解説、参考資料などを掲載した教員向けのDVDを作成し、全国の教育委員会や小中高等学校等に配付しているところでございます。
 
今先生から御指摘がありました、わかりやすいDVDや、アクセスのできる、そのまま使える教材については、今後とも、児童生徒が放射線について科学的な知識を持ち、科学的に考え行動することができるように、こういったものを、御指摘のように放射線教育の充実が図られるためにどのような工夫、改善ができるかについて前向きに検討してまいりたいと思います。

○高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
こうした放射線学習について、全国におけるセンターの役割を果たす施設が必要ではないかと考えます。例えば、子供たちの修学旅行、教育旅行、また国民が、もっと知りたいという人が訪れることによって普及啓発につながる中心拠点でございます。恐らく、今全国の中で唯一ある施設は、福島県が福島の子供たちのためにつくった環境創造センター、三春町にありますが、ここではないかと思います。
 
研究棟また本館につきましては、JAEAまた国立環境研究所と連携をしたり、そこが入っているというところですが、ここに交流棟というのがありまして、コミュタン福島という名前になっておりますが、そこで子供たちが展示や体験スペースを鑑賞しながら放射線や環境を学び、自分で判断する力を養っていく、また福島県の現状がどうなっているのかを知ることができる、そうした福島県の子供たちを主に対象としたものですが、福島県の方たちの思いは、むしろ、全国の人たちに来て知っていただきたい、そのことでございます。
 
その意味では、私は、国がバックアップをしてこのセンターを強化拡充してはどうかと思います。あわせて、こうしたところがあるんだということを広く周知徹底していく、広報活動にも努めていただきたいと思いますが、文科省と環境省の対応を求めたいと思います。

○樋口大臣政務官 高木先生御指摘の環境創造センターにつきましては、放射線に関する正確な情報や復興への取り組みを伝える施設というふうに認識をしておりまして、同センターを修学旅行の訪問先に位置づけ、子供たちが放射線に関する科学的な知識を学ぶ機会を得ることは大変有意義なことであるというふうに考えております。
 
同センターは、福島県が作成をしている教育旅行に関するパンフレットに取り上げられており、モデルコースの一つにも位置づけられており、文部科学省といたしましても、全国の各学校が修学旅行の行き先等を検討する際の参考となるように、さまざまな場を通じて積極的に当該パンフレットの周知に努めているところでございます。今後とも引き続き行ってまいりたいと思います。

○正田政府参考人 お答え申し上げます。
環境省では、文部科学省とともに福島県に福島県原子力災害等復興基金を設置し、御指摘のございました福島県環境創造センターの整備、運営を支援しております。
 
また、平成二十八年四月一日には同センター内の研究棟に国立環境研究所福島支部を開設し、被災地の環境回復と環境創生に向けた災害環境研究に取り組んでおります。
 
これらの研究成果につきまして、同センターに入居しております福島県、日本原子力研究開発機構と連携し、センター内の交流棟で行われます体験学習やセミナーなどの取り組みに活用することなどを通じて、放射線に対する正しい理解が進むよう、放射線学習の実施に協力をしております。
 
引き続き、福島県等と連携し、同センターによる放射線学習に協力してまいります。

○高木(美)委員 さらに強化をお願いしたいと思います。
大体、こういうふうに各省庁をまたがるものはなかなか進まない。伺えばいい答弁をいただくのですが、現実がなかなか進まない、予算がつきにくいということがあります。ちょうど復興大臣がいらっしゃいますので、ここはやはり大臣にぜひとも旗を振っていただきまして、文科、環境、それぞれの省を取りまとめていただきながら、また、ぜひ一度、環境創造センター、まだでしたら大臣にもお運びをいただきたいと思っておりますが。行かれました。大臣、それでは、簡潔に一言御答弁いただけますでしょうか。

○今村国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、やはり放射能に対する理解というものをもっと徹底する必要があるねということをつくづく感じます。そういう意味では、今言われた三春のですね、私も行って大変勉強になりました。ですから、もっともっとこれをアピールして、いろいろな意味で、そこに人を呼び寄せるぐらいの大きな発展をしていくように、いろいろな形で我々復興庁としても全力を挙げていきたいと思います。

○高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
もう一つのことでございますが、やはり心のケア、自主避難を含めまして、福島の子供たちへの心のケアを継続しなければならないと思います。
 
子供の心のケアにつきましては、文科省で、緊急スクールカウンセラー等派遣事業であるとか、さまざまな形で実施をしていただいております。また、NPO関係者やソーシャルワーカー等が行っているということも承知しておりますし、私も後押しをさせていただいております。
 
ただ、大人が受けるストレス、避難解除とあわせて、人生の選択を迫られる、幾つもの階段を上らなければいけない、こういう大人のストレスを子供はそのまま受け取る傾向があるということは多くの支援専門家が指摘をするところでございます。また一方で、大人につきましても、自主避難先での孤立であるとか、また、私も直接伺いましたが、私が東電で働いていることはないしょにしてくださいという何とも言えない心情、そうしたことに対応する必要があるのではないかと思います。
 
この心のケアへの支援につきましては、まさに心の復興と関連が深いものがありまして、福島の復興が終了するまで十分な予算と人材を確保して継続すべきであると考えます。
 
大臣が記者会見でもおっしゃっていらっしゃいましたが、今、福島特措法の改正を検討中であるというふうに伺いましたが、心のケアにつきましても、これから長い作業が必要でございまして、その事業の継続性を確保する意味からも、私は法律に明記すべきではないかということを申し上げたいと思います。復興庁の答弁を求めます。

○長沢副大臣 東日本大震災から間もなく五年九カ月を迎えようとしております。避難生活が長期化すればするほど子供の心身の負担は大きくなりますので、適切なケアを図るということが大変重要だということは私たちも強く認識をしているところでございます。
 
御指摘いただいたような取り組みのほかに、復興庁では、例えば被災した子どもの健康・生活対策等総合支援事業、これは子供の心の相談会、それから保健師が子供さんのいる御家庭を訪問して相談に乗る、こういうような事業を行っております。
 
また、子供に特化せず大人ということも含めて、被災者の心のケア支援事業というのも行っておりまして、これは心の悩みに対する相談や訪問支援、あるいはケアにかかわる専門家の人材育成、こういったことに取り組んでおりまして、これからも、こういう心のケアは今特に大事になっているというふうに思っておりますので、しっかり取り組んでいきたいと思います。
 
なお、福島特措法改正に係る御要望については、大事な御意見として承りました。

○高木(美)委員 そこで、提案をさせていただきたいのですが、阪神・淡路大震災のときは、こころのケアセンターを兵庫県がつくりました。地域の保健師さんたちを中心にしながら、さまざまな関係者と連携をしながら、今の段階は何が必要かという分析を行いながらトータルで推進をしたと聞いております。これも我が国初めての事業でございまして、諸外国の例を参考にしたと聞いております。
 
今、心のケア、それぞれに文科もあり、厚労もあり、また復興庁もそのような事業を展開してくださっており、内閣府は自殺対策を展開されているといういわばばらばらの状況もあります。また、さまざまな支援者の人たちが、専門家がいろいろな資金を確保しながら、時には財団が行うもの、また企業が展開をするもの、そうした資金をもとに実態調査また活動展開もされているのですが、それも全部ばらばらという状況があります。したがって、それがなかなか集約されていかない。今の段階、どういうことが必要なのか。しかも、単なる震災からの復興というだけではなく、ここは放射線への知識普及をどうするかという、ここへのまた偏見との戦いというのもあるわけでございます。
 
私は、その意味から、阪神・淡路のときに行ったこころのケアセンターというような、やはりそうしたばらばらなものをもう一回集めて総合的に進めていく必要があるのではないか、また、そうした人材育成も含めた対応が必要ではないかと思いますが、これは文科と厚労、そしてさらには大臣の御答弁をいただきたいと思います。

○堀江政府参考人 お答え申し上げます。
議員御案内のように、厚生労働省で被災三県に心のケアセンターを設置してございます。

実績を見ていきますと、今、県内の話でございますけれども、三県合わせて、相談支援件数、面談のみのものでございまして、電話とかは別でございますけれども、二十四年度から比べて減っていない。毎年二万件のものがある。福島の方は少し減ってはおるのですけれども、やはり、福島の方でお聞きしてみると、仮設とかいうところでは減ってきているものの、御自宅に訪問させていただいて相談を受ける、内容としては健康面、居住環境の変化、家族関係などがございましてというようなことで、これについては来年度の方もしっかり予算要求しているところでございます。
 
また、県外の方でございますけれども、福島県の方は県外にいらっしゃる方が多くて、そういう意味では、避難先が県外の方には、特にいつまでそこにいるのかわからないという前提での、地域環境になじみにくい、それから家族の中での意見がいろいろ食い違いが大きくなってきている、こういうような話もございまして、県外の避難者の方の心の悩みに関する部分も、しっかり、十の都道府県にお願いをいたしまして、心理士会ですとか精神保健福祉協会とかにお願いして、対応しているということでございます。
 
御提案の部分につきましては、またよく政府内で検討させていただければと思います。

○樋口大臣政務官 まず、児童生徒の心のケアにつきましては、中長期的に継続して取り組むことが重要だ、このように思っております。
 
続きまして、人材育成でございますが、文部科学省におきましては、毎年、各教育委員会の教育相談の担当者を招致して連絡協議会を開催しているところでございます。そして、その結果を各教育委員会においても反映していくということであります。
 
文部科学省といたしまして、引き続き、スクールカウンセラーの質、量両面における拡充を、そして、復興庁、厚労省さん、他の省庁としっかり連携をして行ってまいりたいと思っております。

○今村国務大臣 震災以来五年たって、いろいろな問題に個別に対応してきたところであります。それはそれでよかったと思うんですけれども、ここに来て、ある意味では、そういうやってきたことをもう一回総括して、一緒にやってやるとか、そういった取り組みのあり方を見直す時期に来ているんじゃないかなという気もしております。できるだけそういったものを統合して、また力を発揮できるということで考えていきたいと思います。

○高木(美)委員 今、大臣の御答弁、大変重要な点であると思っております。今まで、最初から何となく進めてきましたけれども、福島特措法の改正も含めまして、ここでもう一回検証していただいて、きょうは済みません、経産省、鍜治審議官、お越しいただいて時間がなくなって恐縮ですが、企業立地補助金の使い勝手とか、また避難解除区域、そこのところも、そこの区域の中でなければ新しい補助は受けられない、特典は受けられないとか、本当にいろいろ使い勝手が悪いところも多くあります。そうしたところをもう一度検証していただきながら、特に心のケアのところはしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、先般、内堀知事から御要請があった点につきましては、私ども、視察でも全く問題意識を共有しておりますので、法改正実現に向けましてしっかりと盛り込んでいただきたいことをお願いいたしまして、終わります。

大変にありがとうございました。

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