「医療制度改革 参考人質疑」

2006.4.25

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
本日は、各先生方、お忙しい中お越しいただきまして、また貴重な御意見を御開陳いただき、心より感謝申し上げます。

御存じのとおり、今回の医療制度改革につきましては、持続可能な制度へ、次世代にツケを回さないという、この思いで私も取り組ませていただいております。

まず、今後の社会保障制度の考え方という点につきまして申し上げたいと思いますが、この委員会の審議でも、やはり国そして都道府県また市町村、それぞれ担うべき役割をある程度明確にしながら考えていくべきではないか、例えば、年金は国が行う、また医療については都道府県が責任を持つ、そしてまた介護については区市町村が責任を持つ、このような役割分担のもとで、当然相互の連携を図りながら行われるべきではないか、このような論議もございました。

そこで、何点かお伺いしたいのですが、まず河内山参考人にお伺いをさせていただきます。

今、医療計画等に加えまして、医療費適正化計画につきましても都道府県が作成をすることに今回の法案でなっております。また、医療機関に関する情報を集約するとか財政面での主軸を担っていただくとかさまざま、都道府県の役割が一層重要になるという方向で明示をされております。そのことにつきまして、市町村としてどのように役割をお考えになっていらっしゃるか。また、その際に都道府県にどのようなことを望まれるのか。

また、あわせまして、先ほど来、国保の財政の御提案も三点目にいただきました。当然、国保財政は悪化しております。また、未納もふえ始めているという状況もあります。今回、そういう中でも、共同事業の拡充であるとか、これもやはり都道府県が財政を担い、運営は市町村が従来どおり行う、こういう形になっておりますが、そのことも含めまして御示唆をいただければと思います。

○河内山参考人 高木先生が御指摘になりましたように、国の役割、都道府県の役割、市町村の役割、これを分権の時代にきっちりよく仕分けをすることがまさに求められております。

昨年、一昨年と、三位一体改革で金目の方は随分議論がありまして、私どももいろいろと心痛をしたことがございます。というのは、国の役割、都道府県の役割、市町村の役割というのが整理されていませんと、どうしても、余り理屈といいますか哲学がない話で三位一体のこともいろいろと議論をせざるを得ない、そういう不幸なことがございました。

改めて、今先生が御指摘になったとおりでございますが、年金であるとか、私は、つけ加えまして生活保護も含めまして、それは国がきちんと役割を担っていただきたい。

それで、まさに御指摘にありましたように、都道府県の単位というのは、制度が先にあるから、あるいは実態としてそれぐらいが適当だ、どちらが先かわかりませんが、医療提供体制、あるいは今の医療費の適正化の計画等々、ひとつ医療にかかわっては都道府県が大きな役割を担っていくのがいいのではないかというのは、これは我々市町村からしますと違和感のないお話でございます。これはやはり今回の後期高齢者の医療制度しかり、それから国民健康保険の再編統合の枠組みもしかりでございますが、できれば、医療提供体制だとか医療費適正化を図っていく責任ある行政主体と保険の方もやはり一つになった方がいいのではないかというふうに、もう従来から私も申し上げておるところでございます。

その上に立ちまして、きめ細かな対人的な話ですね、例えば、先ほども少し申し上げましたけれども、健康づくりをどうやってやっていくかとか、あるいは最終的に障害者の方々の自立の支援をどうやってやっていくかとか、こういうのは非常に難しい課題でもありますし、手間暇もかかりますけれども、これはやはり、最も身近な政府でないときめ細かな体制はつくれない、対応はできないだろうと思いますので、市町村の仕事だと思っています。

いろいろと国保の方の問題も、今申し上げましたとおりでございまして、保険も少し広域化をしていくべきだということからしますと、先ほど冒頭に陳述申し上げましたように、今回の方向性としては都道府県単位を軸とした再編統合の方に向かっているのかな、こういうふうに考えておりまして、これは今後実効性が出てくればいい制度ではないかと考えております。

○高木(美)委員 ありがとうございました。

続きまして、奥野参考人に伺わせていただきます。
大変僻地医療につきまして御苦労を重ねながら尽力をされているという、自治医大一期生という誇りを大変痛感させていただきました。

そこで、今、私は東京所属でございまして、東京にも小笠原という島がございます。船で二十六時間かかるという島でございまして、出産するには四カ月がかりで、都内に来て、そして宿泊をして、子供の首が据わるころ島へ戻る、このような形になっております。

やはり僻地、離島におきまして安定的に医療を確保するということは大変困難であると思っております。この離島医療の確保につきまして、国や都道府県の支援策としてどういったものが有効とお考えか、御示唆をいただければと思います。

これは私の考えですけれども、例えば、そうした地域に若手医師の方に積極的に行っていただく、このような制度の創設はいかがかと思います。ただ、ほやほやの方ですと、なかなかそこで一から本を参考にというわけにはまいりませんので、ある程度基礎をきっちりとやった上で行っていただく、そしてまた、お戻りになったら何かしら御本人の恩典といいますか希望がわくような、そのような配慮ができる、こういったシステムも必要なのではないかと思っておりますが、この点につきまして御意見を伺いたいと思います。

○奥野参考人 若い医師が僻地に行くというふうなことで、一つ非常にわかりやすいのが、自治医科大学の卒業生というのは義務ということで僻地に行くわけですけれども、その義務が終わった後でも、僻地に勤務をしたい、あるいはしているという方が結構多いんですね。

それはどういうことかといいますと、まず、学生教育におきましても、それから卒後の研修におきましても、現在は変わってきておるんですけれども、従来、僻地で物を学ぶという仕組みあるいは制度が全くなかったわけです。医師が将来どういうふうな医師になりたいか、どういうふうになろうかと選ぶときには、必ずや、学生のときにそういう現場を見ている、あるいは体験する。それから、もっと大事なことは、医師になって、医師として責任ある立場として現場に行くということでその現場を知って、たくさんある選択肢の中から、内科になる、外科になる、またもう一つは地域の医療に行くというふうなことができるわけです。

ですから、仕組みの中で僻地での医療を体験するといいますか実際勤務するというふうなことが、僻地に行く人をふやすといいますか、知っていただかない限り、それを知らないのに僻地医療を選ぶというのはなかなか勇気の要ることであります。

それから、若干ポイントは変わるかもしれませんが、僻地というものを考えられるときに呪縛というのがありまして、僻地に行くには、まず、いろいろな科ができないといけない、それから、長くいないといけない、あるいは長くいてほしい、それから、住民と溶け込んでほしい、そういったことが望まれるわけですけれども、ともすれば、皆さんの僻地に対するイメージの中から、そういうことがあらかじめできていないといけないよというふうなことがあります。

それは、三つとも、どちらかといえば余り大きなことではなくて、長くいても、私も結構長くいるんですけれども、いいこともありますが、一人の医師が長くいるということは弊害もあります。私を好きな患者さんもおりますけれども、嫌いな患者さんもおるわけで、そうしますと、長い間その患者さんはつらい思いをするわけです。

それから、短期間で医師がかわるということも、いろいろな医師がいろいろな見方をして、僻地の医療を物すごく長い目、百年とか二百年で見れば、長い医師もいてもいい、短い医師もいて、いろいろな角度でそれが見られるというふうなこともあります。

それから、たくさんの科が診られるということは、それはとても無理な話でありまして、ただ、たくさんの科のいろいろな患者さんをひとまずは診ることが大事だということです。ひとまず診るということは、私は眼科をやっていませんから眼科は診ませんということではなくて、ひとまず診ることができる。そのためには、今やっております医師臨床研修制度のようにして、いろいろな科をひとまず回っておくというふうなことが大事かなと思います。

答えになったかどうかわかりませんけれども、この辺でお答えとさせていただきます。

○高木(美)委員 ありがとうございました。

それでは、小児医療、また女性医師の問題につきまして、鴨下先生とそれから奥田参考人にお伺いをしたいと思います。

まず、小児医療のことにつきましては、これは大きな課題でございまして、この委員会でも大変熱い審議が繰り広げられております。小児医療は、今後の方向性としましても、まず、十八年度、各都道府県が病院を重症患者向けと軽症者向けに分ける、そういう再編プランを策定する、また、小児専用の集中治療室を全国十カ所の民間病院に整備する、こうした集約化が図られているところでございます。

このことにつきまして、小児医療の今後の本当に大きな方向性といいますか、今、医師不足である、そしてまた夜間に集中しがちである、こうしたことに対しまして先ほど来提言をいただいているわけですが、鴨下先生に重ねてこの点につきましてお伺いをさせていただきます。

○鴨下参考人 ただいまの御指摘は大変重要なことでございまして、小児医療の集約化ということは前々から考えられておりました。ただ、基本的に、これは私個人の意見でもございますが、やはり今火事だから火を消すという段階で、やむを得ずやるという方向かと思います。

長期的には、むしろ小児科医をふやす、産科の場合も同様でございますが、そのためには、これは文科省の管轄になろうと思いますけれども、現在の国立大学等にぜひ、母子医療センター、そういうものをつくっていただいて、医師をどんどん学生時代からそういう方向へ向けていただくということを考えなければいけないのではないかと思います。

それがお答えでございますけれども、よろしゅうございましょうか。

○高木(美)委員 ありがとうございました。

先ほど来、鴨下先生が母子医療を特別に位置づけるとおっしゃることをしっかり受けとめさせていただきました。

実は、我が党も今、少子社会トータルプランの最終の取りまとめに向けまして準備が最終段階に入っているところでございます。先ほど来、子供を大切にする意識、これを国民の大きな力にしなければいけないというお話も受けとめさせていただきました。

そこで、私申し上げたいのは、女性医師の問題でございます。

近年、御存じのとおり、女性医師が大変ふえておりまして、最近では医師試験合格者が三割であるとか、また、ことし、産科医につきましては四割が女性である。こうした傾向はますます強くなると思います。

先ほど奥田参考人からもお話ありましたとおり、やはり育児、出産と、女性医師が仕事とどのように両立できるかという観点から考えますと、女性医師には特別な支援がなければ就労継続はなかなかできないのではないか。今、この傾向はますます強くなりますので、五年後、十年後を考えますと喫緊の課題ではないか、このような意識を持っております。そうしたところから、女性医師バンクの提案もさせていただきましたし、我が党を挙げて今取り組ませていただいているところでございます。

そこで、女性医師の支援につきまして伺わせていただきたいと思います。

院内保育所であるとかさまざまなことが行われると思いますが、今一番求められている、また対応しなければいけない対応策といいますのはどのような点が考えられますか。このことを鴨下先生と奥田参考人にお伺いをさせていただきます。

○鴨下参考人 これも、今先生がおっしゃいましたように、大体もう全国レベルで学生の数で申しますと、ほぼ四五%以上かと思います、女性が医師になる。そういうことで、今後、五年、十年あるいは二十年後には、むしろ女性医師の方が総数としては多くなるという状況で、そういう中で、女性医師を支援するということを徹底的にやらなければいけないのではないか、こう考えております。

具体的には、子供を育てながらでも勤務できるような体制、保育所もそうでございますし、それから、今まで常勤医というのは一人ということでしたけれども、女性は、仮に時間をずらしてフレックスタイムで二人で一人とか、勤務体制をできるだけリベラルにする、そういうことで女性医師がもっと働きやすい環境にしなければいけませんし、それから、産休、育休で第一線を離れて復帰する場合にも、ぜひ再教育の期間も必要でございますので、そういった点についての配慮が、これは主にやはり病院なり医療機関として考えていかなければいけないことだと思います。

○奥田参考人 私も鴨下先生に全面的に賛成ですが、現場の声として言わせていただきますと、やはり保育所の問題はあると思います。外資系の企業なんかですと、保育所の中が充実しているというふうに聞いておりますので、やはり我々の勤務体制、先ほど申し上げたような勤務からすると、二十四時間三百六十五日、安心して預けられる保育所を院内につくる、医師が預けられるもの、お金がかかっても結構ですので、院内にそれをつくっていただきたいとずっと考えております。

ただ、そうしますと、逆に子供と接する時間がすごく少なくなって、我々としてはせつないというのもございます。

あと、やめていく女性医師の一つの声として、私はどうしても当直はやはりできない、でも、当直ができない状態で常勤の数を埋めてしまうとほかの当直する先生の当直がふえて申しわけがない、そういう遠慮から、もうちょっと働きたいんだけれどもやめますというふうにやめる人も結構いるんですね。

なので、鴨下先生のおっしゃるとおりで、やはり勤務体制に区別をつける。やはり病院も、そういう形で人数をたくさん雇うのはしてくれないんですね、どうしても。やはりそういういろいろな勤務体系があっていい。そのために、何人をどういうふうに雇ってもいいんだというような形で、病院が柔軟に対応していただけるというのが一つ解決策になるのではないかとずっと考えております。

○高木(美)委員 貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。

小児科、産科、両方ともこの問題は共通する大きな課題でございます。やはり女性が働きやすい環境にどのようにしていくか。それによりまして、それが恐らく僻地医療にも、またそれぞれ地方の病院にも、今の医師不足、母体をしっかりしますと、派遣することができる、また地方に残ることができる。この女性医師の問題の解決というのが、私は、大変これは今後の少子高齢社会に対応するためにもまさに喫緊の課題であると思いますので、今後ともしっかり取り組ませていただきたいと思います。

最後に一点、もう一度、恐縮でございますが鴨下先生にお伺いしたいのですが、在宅医療のことでお話がございました。やはり在宅医療は、今後どうしても推進しなければならない大事な点であると思っております。

そこで、先ほどのお話の中で、卒後、在宅医療の専門家を後期研修を通して育成したいというお話がございました。当然、在宅医療につきましては、先ほど乳児から高齢者までという御提案もいただきまして、この先生の御提案につきまして、どのような人的な資源で対応することがふさわしいのか、またそのための研修をどのように行われるべきなのか、この点につきまして最後にお伺いをいたしたいと思います。

○鴨下参考人 お答え申し上げます。

これは、在宅医療の専門医あるいは専門家というのは、非常に今まだ少ないわけでございますね。学会も熱心にそういった方面から開かれておりますけれども、今後、ちょうど今、医師の研修について申しますと、初期の二年が終わったところでございますので、これからの後期研修の課程としてそういう道をぜひつくるべきではないか。

先ほど来、奥野参考人は自治医大の卒業生で、自治医大の卒業生は、やはり現場に若いときに行って、そこでいろいろ学んだことをそのまま生涯通して頑張っているわけですね。ですから、それと同じように、やはり医師としての早い時期にそういったターミナルケアあるいは子供の在宅医療ということに触れた者が専門の道に入っていくということが必要ではないか。それを何か義務的にやらせるということではやはり解決しないのではないか。診てもらう患者さんの方にとっても、決してそれはハッピーなことではないだろうと思います。

ですから、そういう道を自然につくっていくということで、恐らく文科省にはまだそういう卒前教育の構想といいますか、ないのではないかと思いますので、せめて卒業してからの早い時期にそういう道を開くことを考えていかなければならないのではないかというふうに、これは多分に個人的な考えでもございますけれども、そう思っております。

○高木(美)委員 大変貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございました。

時間の関係で山崎参考人また近藤参考人に御意見を伺うことができませんで、おわびを申し上げたいと思います。大変にありがとうございました。以上で終わらせていただきます。

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