「がん対策基本法」について

2006.6.2

○岸田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代君。

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 今、がんは死亡原因の第一位となり、年間死亡者数は約三十二万人と言われております。二人に一人はがんになり、三人に一人ががんで亡くなっている。また、二〇一五年には年間死亡者数は四十三万人と推測されており、一・五倍に伸びると言われております。

 二人に一人ががんで亡くなる時代がこれから十年後到来するということでございますが、このようなことを考えますと、がんというのはまさに国民病でありまして、これはもはや国家戦略として取り組むべき課題であると認識をしております。そうした中、今回、与党としてがん対策基本法案を出されましたことはすばらしいことであると高く評価をするものでございます。

 そこで、本法案につきまして、提案者であります斉藤議員に順次質問をさせていただきます。

 まず、これまでの公明党のがんに対する取り組みの経緯と、なぜ立法化が必要と判断をされたのか、お伺いをさせていただきます。

○斉藤(鉄)議員 公明党の斉藤鉄夫でございます。
 与党案の提出者の一人としてお答えさせていただきます。

 まず第一点目の、これまでの公明党の取り組みの経緯でございますが、公明党のがん対策への取り組みは、実はかなり早い段階からスタートしております。

 特に本格的に取り上げましたのは、二〇〇四年一月の衆議院での神崎代表の代表質問です。神崎代表は、総理のリーダーシップのもと、強力ながん対策を推進せよと迫りました。そして、昨年六月にはがん対策プロジェクトチームを立ち上げ、二十回近い勉強会や視察を踏まえ、昨年十一月には、がん対策法の制定を含むがん対策の推進に関する提言をまとめ、政府に申し入れをしました。

 ことし一月からは、議員立法でがん対策を進めるべく法案づくりに着手し、一月二十四日の衆議院代表質問で、神崎代表が公明党独自のがん対策法の策定を検討していることを表明しました。二月には、井上政調会長が衆議院予算委員会で、日本のがん対策でおくれている緩和ケアと放射線治療の推進を図るべき、またがん医療の均てん化のためにがん登録制度をと訴えたことは御記憶に新しいと思います。三月には、がん対策推進法案要綱骨子を策定し、与党政策責任者会議に提示して、与党プロジェクトチームを設置しました。その後、自民党さんとの協議を重ね、先月十八日にがん対策基本法案を決定したわけでございます。

 二点目の、なぜ立法化が必要と判断したかということにつきましては、先ほどございました、日本が欧米に比べて大きくおくれている部分、これを早急にキャッチアップする必要がある、このように感じたからでございます。

○高木(美)委員 法案作成の過程の中で、ただいまもお話ありました放射線治療につきまして、なぜ公明党は、いろいろあるがんの治療法の中で特に放射線治療を強調したのか、またその点は基本法案の中にしっかり盛り込まれたのかどうか、お伺いをいたします。

○斉藤(鉄)議員 四十年ほど前の日本では、がんといえば胃がんが主流でした。このため、治療法はがんを摘出する手術がすべてのように思われ、その後も、がんイコール胃がんイコール手術という、手術偏重の時代が続いてきました。しかし、日本人の生活の欧米化で、がんも、胃がん、子宮がんから肺がん、乳がん、前立腺がんなどへと、がんの欧米化が進んでおります。

 がんの治療法にはいろいろありますが、がんを完全に治す完治、根治には手術か放射線治療しかありません。もちろん例外はありますが、それは非常にまれでございます。そして、この欧米型のがんの治療には放射線が有効と言われております。

 ところが、完治のために手術をする外科医は十分にいるのですが、放射線治療医はたった五百人しかいません。治療施設は七百以上あるので、パートでの治療も多いと言われます。近い将来、日本人の四人に一人が放射線治療を受けると予想されるのに、五百人では到底賄えません。ですから、まず、完治のために手術と並ぶほどの治療法である放射線治療医をふやす必要があります。

 また、がん患者の高齢化が進み、手術に耐えられない患者がふえているため、放射線治療の出番が急速に多くなっています。高齢化が進めば進むほど放射線治療の需要はふえます。現在、がんの患者で放射線治療を受けているのは十五万人、二五%。十年後には三十万人に急増すると厚生労働省の研究班の予測もございます。この急増にこたえるためには、放射線治療医をふやすしかありません。

 延命を基本とする腫瘍内科医、いわゆる抗がん剤治療専門医の方は、十万人以上の内科医の中から腫瘍認定医としてふやしていくことは容易と言われています。これに対し、放射線は、五百人しか医者がいないため、専門医をふやすには医学生を放射線治療の分野に引っ張ってこなければなりません。つまり、放射線治療医の育成には時間がかかるので、早急な対応策が急務でございます。

 ちなみに、アメリカには放射線治療医は六千人いらっしゃいます。
 与党のがん対策基本法案では、第十三条の専門的な医師の育成の項で、「手術、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成を図るために必要な施策を講ずる」としておりますが、これは、がん治療を担当する医師の中で特に不足している分野の専門的医師及び医療従事者を育成しようという趣旨です。

 また、第二条の基本理念に学際的という言葉を入れました。これは、医学、理学、工学、それぞれの最先端の学問分野を統合して、この放射線、これは物質内の放射線挙動という非常に理学、工学が関与した分野でございます。そのような最先端の医学を統合して当たっていくべきだという理念をこの二条の中に入れたものでございます。

○高木(美)委員 今御答弁いただきまして、放射線治療医の専門家の育成が大変大事であるということがわかりました。

 このことにつきましては、与党の法案づくりの段階では、しっかりと自民党さん、そして公明党間で認識は一致されたのでしょうか。

○斉藤(鉄)議員 はい、この点は、自民、公明両党間でコンセンサスを得られております。一致をいたしました。

 ただ、基本法案に治療の一つだけを特筆することは法文上のバランスを欠くとの指摘もあり、がん対策推進基本計画の中でしっかりと詰めたものを決めようということで一致しておりますので、法案が成立した暁には、基本計画で放射線治療医等の育成が明記されることになります。

○高木(美)委員 ありがとうございます。
 足らざるところを補いながら、総合的な連携で、組み合わせで治療に当たるというその趣旨がよくわかりました。

 重ねまして、欧米では、この放射線治療につきましては、受けている患者の数は多いのでしょうか。お願いいたします。

○斉藤(鉄)議員 アメリカではがん患者の六六%が放射線治療を受けている、ドイツでは六〇%、欧州ではがん患者の半数以上が放射線を受けておりますが、日本は二五%でございます。イギリスは五六%ですが、イギリスでは最近、放射線治療の専門家不足で治療開始がおくれ、今やだれを優先治療するかが問題となっており、国家的政策を定めるときが来たとする報告さえございます。

 日本も、放射線治療が急増中で、一部の施設では既に治療はオーバーフローしており、だれを優先してがんの放射線治療をするかという時代に突入しつつあると言われます。この問題に真剣に向き合わないと大変なことになる、こういう認識でございます。がんの種類が変化し、手術から放射線治療へと比重が移行しつつあるという事実を軽視してはいけない、このように考えております。

○高木(美)委員 この放射線治療につきましては、確かに抗がん剤であるとか手術であるとか、そうした内容に比べましたら、がん患者の痛みを取り除くためには大変有効であるとも伺っております。恐らく緩和ケア、緩和治療にも重要な役割を果たしているとも言われておりますけれども、このことにつきまして御所見を伺います。

○斉藤(鉄)議員 放射線治療が緩和ケアに大きな役割を果たしている、そのとおりでございます。

 がんになった場合、まず手術か放射線治療か、その両方に、場合によって抗がん剤を組み合わせたやり方によって完治を目指すわけでございます。しかし、転移や再発などで完治がだめということになれば、緩和ケア、緩和医療の考え方を基本にした上で抗がん剤治療を適切に行うという方針をとらなければなりません。

 がんの特徴として、完治が得られずがんによる死が定まっている場合でも、数カ月から数年の時間が残されているという点がございます。この限られた時間をどう過ごしていただくかが緩和ケアの大きな課題でございます。

 一方、有効性が確立しているがん治療には、これまで言ってきたことでございますが、外科手術、抗がん剤治療、放射線治療がありますけれども、放射線治療は、手術、抗がん剤と比べて患者の負担が非常に少ないために、末期がん患者にも行うことができる治療でございます。また、単にがんの痛みを抑えるだけでなく、原因となるがん病巣を縮小させるなど、病的骨折の予防、脊髄圧迫の解除、脳転移による神経症状の緩和などが得られます。

 こうした治療は、限られた人生最後の時間を有意義に過ごす上で不可欠です。特に、最近の技術的進歩によって、一回に大量の放射線をがん病巣にピンポイント照射することが可能となり、体調のよくない末期がん患者の救いとなっております。

 このように、放射線治療は、非完治、非根治患者における症状緩和に極めて重要な役割を果たす、このように認識をしております。

○高木(美)委員 放射線治療医育成の緊急性については、よくわかりました。
 ただ、今後、専門医をどのように育成していくのか、どうすれば専門医をふやすことができるのか、お考えを伺います。

○斉藤(鉄)議員 治療医を育てる専門講座の問題でございます。
 ここが一番大きな問題なんですが、現在、八十ある大学医学部のうち、放射線治療の講座は十二校、一五%しかありませんが、教授職は三十一人いらっしゃるそうです。ただ、これも八十大学中三九%です。

 そこで、放射線治療医の育成については、放射線治療を専門とする教授職をつくるところから始めるとよいと言われております。助教授を教授職にすることは比較的簡単と言われておりますので、大学の考え方を尊重しながら教授職をふやすことが合理的かもしれません。その上で、放射線治療の講座を多くの医学部につくり専門医をふやす努力、これも必要かと思います。

 また、現在講座がある学部でも、いわゆる放射線治療と放射線診断の講座が同居していると言われております。これは、同じく放射線と名前はつきますが、全く内容は別個のものでございます。別個の講座にするべきです。放射線治療学と放射線診断学、別個の全く違うものだからです。しかも、既に放射線診断医は全国で四千人いらっしゃいます。欧米では、放射線治療と放射線診断は別個の講座となっている、これは常識になっているそうでございます。

○高木(美)委員 公明党は、もう一つの柱としまして、がん対策として緩和ケア、緩和治療の重要性を強調していると受けとめております。
 この理由につきまして、御説明を求めます。

○斉藤(鉄)議員 与党のがん対策基本法案は、何も現在政府が推進しているがん対策を否定しているものでは全くなく、むしろ、それはそれでどんどん進めていかなくてはいけないと考えております。今回、与党案が強調しておりますのは、がん対策の中で大きくおくれている部分がある、そこを強力に推進しなくてはいけないというふうに考えているからでございます。そのおくれた部分が、緩和ケアと放射線治療でございます。

 緩和ケアとは、患者の痛みを和らげる、とってあげるという医療行為ですが、これまで緩和ケアは、患者が終末期に至って初めて開始されるという状況が続いてきております。つまり、治らないとわかったがん患者にこそ医師は最善の医療を提供すべきなのに、実際のがん医療現場では、完治しない患者の七、八割は、激しい痛みと精神的な苦しみの日々を過ごして死に至るというのが実態だと言われております。

 がんの痛みは、進行して骨などに転移すると発生します。がんの痛みを和らげることは緩和ケアの最も重要な役割ですが、その中心は、医療用麻薬であるモルヒネ、あるいは類似薬物を薬として飲む方法です。

 モルヒネと聞きますと麻薬中毒になるといった誤解、口から飲む分には、いわゆる習慣性は大丈夫だということらしいですけれども、こういう中毒になるという誤解も根強くあり、モルヒネの使用量は欧米に比べて格段に低い。カナダ、オーストラリアの七分の一、アメリカ、フランスの四分の一でございます。類似薬物まで含めますと、日本人一人当たりの使用量は、アメリカの二十分の一です。

 なぜこうしたことになったかというと、そもそも日本では、岡山大学のような一部を除き、緩和医療学の講座が医学部に存在しません。このため、講義や実習がほとんど行われていないと聞いております。緩和ケアの考え方は、がんのみならず医療の根底にあるべきですが、日本では医学生が学ぶ機会がないと言われております。

 本来の緩和ケアとは、がんと診断されたときから治療と並行して受けられるようでなければなりません。イギリスでは、十年前から国家戦略としてがんに取り組み、緩和ケアをがん医療の中心に据え、これまでに三分の二の医師が緩和ケアの研修を終えていると報道されています。今では、どこの病院に行っても緩和ケア専門の外来があるそうです。

 日本でも、行政任せにせず、法律によって緩和ケアを充実する体制をつくり、緩和医療学講座の設置はもちろん、早急に医師や看護師、薬剤師などに対する緩和ケアの教育、普及を徹底しなければなりません。

 そのために、法案では、第十五条で、「国及び地方公共団体は、がん患者の状況に応じて疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること、居宅においてがん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保すること、医療従事者に対するがん患者の療養生活の質の維持向上に関する研修の機会を確保することその他のがん患者の療養生活の質の維持向上のために必要な施策を講ずるものとする。」と明確に規定しているところでございます。

○高木(美)委員 今までるるお話を伺いまして、やはり一番大事なことは、今、まだ日本の医療におきましては、がんイコール死という、そのことでございます。緩和ケア、そして放射線治療、これを日本のがん対策のおくれを改善する二本柱に据えていただきまして、極端な表現ですが、がんになっても痛まない、苦しまない、そういうような治療、これはまさに夢のような治療でございますけれども、こうした社会にぜひともしてまいりたいと私も思っている一人でございます。

 特に、今までも検診のお話等もありましたけれども、がんの死亡者数を減らしていくという視点、そしてまた、すぐ近隣の方たちが亡くなっていくというこのつらさ、やはりここを何としても大きく変えてまいりたいというふうに思っております。がんの死亡者数を減らすという視点は本法案ではどうなっているのか、お伺いをいたします。

○斉藤(鉄)議員 お答え申し上げます。
 その点も極めて重要でございまして、第十七条において「がんの本態解明、革新的ながんの予防、診断及び治療に関する方法の開発その他のがんの罹患率及びがんによる死亡率の低下に資する事項についての研究が促進され、並びにその成果が活用されるよう必要な施策を講ずるものとする。」と規定されており、いわゆる免疫療法なども積極的に研究開発していくとしております。

 与党間協議の中でも、本当に将来に明かりを見出すような、将来に希望があるような法案にしていこうという強い御意見もございまして、このように規定されているところでございます。

○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 もう一つ盛り込まれておりますがん対策推進基本計画につきまして、ここで細部にわたりましてさまざま盛り込まれるかと思いますが、このことは閣議決定に持っていく、このような方向なのでしょうか。

○斉藤(鉄)議員 はい、このがん対策推進基本計画につきまして、法案の第九条二項では「政府は、がん対策推進基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを国会に報告するとともに、」となっており、主語が「政府は、」と明確に書いてございます。通常、原則として閣議決定の形をとるということになるわけでございます。従来の例としては、ものづくり基本法、これも議員立法、また同じく議員立法で子ども読書推進法などは閣議決定しておりますので、がん対策基本法案も当然そうなる、このように考えております。

 また、先ほど、具体的な項目についてはがん対策推進基本計画の中に書き込むというところでございますが、放射線治療につきましてぜひ私自身書き込みたいというので、先ほど基本理念の中に学際的という言葉が入った、このように答弁をさせていただきました。これから日本の医学が本当に進んでいくためには、医学と理学と工学がそれぞれの研究分野で対等の立場で協力しながら、連携を図っていきながら進んでいくということが大切だと思っております。

 アメリカの放射線治療の場合、いわゆる六千人の専門医がいると言われましたけれども、その数に匹敵するだけのいわゆる博士号を持った工学博士、理学博士がそれを支えていると言われております。その人材供給源は、実はアメリカでは、スリーマイルアイランドの事故以降、原子力分野が減ってきた、その技術者が医学の分野に進んだ、その博士号を持った理学者、工学者がお医者さんと共同して、放射線治療、重粒子線また普通の粒子線、陽子線、その他のいわゆるリニアック等の電子エックス線等の電子線を照射する、いろいろな分野で活躍をしてここまで伸びた、このように言われております。

 アメリカでは数千人オーダーいる、サポートする人たちが日本では理工系出身者はわずか五十人程度と言われておりまして、この分野でも、そういう意味で、日本の医学がこれから世界の医学の中で最先端を行き、ある意味で国際競争力を持ち、世界じゅうから日本に患者さんが来る、そういう状況をつくり出していくためにもこのような学際的な研究が必要だ、このように考えているところでございます。

○高木(美)委員 ありがとうございました。

 最後に大臣に質問をさせていただきたいと思いますが、これまでの斉藤議員の答弁を踏まえまして、緩和ケア、そしてまた放射線治療医等の育成、また放射線治療の推進、そしてがん対策推進基本計画の策定等々、本法案に盛り込まれております。当然こういった中には文部科学省と連携をとっていただかなければいけない点もあるかと思います。

 いずれにしましても、がんは恐ろしい病気というふうに言われております。また、最初の発病の場合にはまだクリアできる道は多く今残されておりますけれども、がんでは、再発とか転移があれば、基本的に今の段階では治癒は望めない。そうした方は、再発された患者さんは、半年から二、三年で亡くなられるという厳しい現実も今ございます。しかも、痛みに苦しむ方が七割から八割いらっしゃる。そういう、最後までがん治療をして治す、そこに今までの日本の医療は目を向けてきたともとらえていいのではないかと思います。

 そういう方たちにとって、自分自身の生活のQOLが確保されまして、再発また転移がありましても、先ほど申し上げましたように、痛むことや苦しむことなく、安心して残された時間を、御自分の人生を総仕上げして、そして人生を大きくまた閉じていかれる、そうしたお一人お一人への安心のがん対策、これが今求められているということが先ほど来お話しありました答弁の内容であるかと思います。

 大臣には、緩和ケア、そしてまた放射線治療医の育成、そして放射線治療の推進、また計画の策定に当たりましての御所見を最後にお伺いさせていただきたいと思います。

○川崎国務大臣 与野党からがん対策に対する法案が提出されました。今の委員と提案者のやりとりを聞いておりまして、医療というものについて、基本的には、今日までは学会とか大学とか、専門分野の人たちに治療内容は任せていく、方向づけもそのような考え方でやってまいったと思っております。

 しかし、患者さん方の御意見、また諸外国の技術の向上、そしていろいろな医療界の皆さん方の声を国会議員の方々がまとめていただいて、思い切って踏み込んだ議論をしていただくことになった。そういった意味では、どちらがいいということを言う立場ではございませんけれども、思い切った御提案をいただいているというようにまず考えております。

 まず、緩和ケアについては、がん患者に対する緩和ケアは、麻薬等を用いて患者の身体的苦しみや精神的苦しみを緩和し、療養生活の質の向上を図っていく上で必要であると考えております。患者と家族にとって可能な限り質の高い療養生活を実現するためには、終末期だけでなく、治療の初期段階から積極的な治療と並行して痛みの除去等を行うことが重要と考えられております。そのため、早い時期から痛みの除去等を実施することの重要性について、研修の実施やマニュアルの普及等により医療従事者の認識を高めることを通じ、医療の現場において緩和ケアが適切に実施されていくことが必要である。

 百万人一日当たりの消費量をとりますと、オーストリアが二百四・〇、アメリカが百二十一、イギリスが五十一に対して、我が国は十七。大体ドイツと似たような数字と聞いておりますけれども、そういった意味では、諸外国で行われている緩和ケアというものにもう少し国全体が目を向けながらやっていくべきではないかという御提案をいただいた。私どももそうしたものを尊重しながらやっていかなきゃならないと思っております。

 もう一つは、がん治療につきまして、放射線治療や抗がん剤治療に比べて、我が国は手術の割合が高いとの御指摘がございました。患者の人生観や価値観が多様化していること、手術以外の治療法の成績も向上していることなどから、多様な選択肢から放射線治療を選択できるようにすることが重要であると考えており、放射線治療医の育成については、国立がんセンター等におけるがん専門医療指導者に対する研修コースを平成十八年度に新設をいたしました。がん診療連携拠点病院の医師の研修の拡充などを進めております。

 これから学会でもいろいろな議論をされることになると思いますけれども、法律をもってしっかりやれという話でございますので、まさに前向きな御提案をいただいた、このように考えております。

 実は、この問題も含めまして、これを一つ一つ読ませていただく中でも、私ども、まず文科省との連携が大変重要であるなと考えております。これは、厚生労働委員会の議論の中で文科省と関係することは多うございますけれども、特にこのがん対策についても、人材の育成から始まりまして、さまざまな形で文科省との連携。また、放射線治療等、治療機器、薬だけではなく機器という問題も絡んでまいりまして、経産省との連携というものも極めて重要な話になってくる。そういう意味では、先日、二階経産大臣、小坂文科大臣と会合を持ちまして、三省しっかり連携をとりながらやっていかなきゃならない。その位置づけとして法律というものを議論していただいているということについては、私どもとしては高く評価をさせていただきたいと思っております。

 一方で、各地域の状況でございますけれども、実は、私が就任いたしまして一番気になりましたのは、がんの連携拠点病院、すべての県ができているかというと、できていないということが第一。第二番目は、大学病院が入っていない。それでは、地域によってしっかりがん対策を練るといっても、大学病院が外れた中で本当に組めるのか。

 そういう意味では、厚生省の予算が流れていく先と文科省の予算が流れていく先と、何か分かれてやっているのか、このように、実は私、就任直後言いまして、文科大臣にお願い申し上げた。厚生省から流す通達だけれども、ひとつそっちからも通達出してくれというお願いを申し上げまして、ことしから多くの大学病院が参加をしてくれるようになりましたし、四十七都道府県がやっとスタート地点についてくれた、このように考えております。

 スタート地点についてくれたものを、もう少し理論づけてしっかりやれという法案の構成になっておりますので、こうしたものを体しながら我々もしっかりやっていかなきゃならない、このように考えております。

○高木(美)委員 ありがとうございました。
 ぜひとも強力なリーダーシップで、本法案成立の暁には国民のためのがん対策を推進していただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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