「死因究明関連2法案」について

2012.5.18

○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、この死因究明等の推進に関する法律案並びに警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律案、三党の協議によりまして成案を得、そしてまた本日、このような形で審議されておりますことに、私も心から安堵している一人でございます。私も終盤でかかわらせていただきまして、感謝申し上げます。

 まず、死因究明等の推進に関する法律案でございますが、平成十八年二月に、パロマ工業製の湯沸かし器による一酸化炭素中毒死であったということが発覚をいたしました。また、平成十九年には大相撲時津風部屋の力士暴行死事件、また、最近の首都圏の連続不審死事件など、遺族の要請による再調査がなければ病死などとして扱われていたというわけで、初めから正確に死因が特定されていれば、こうした事故死については防げたのではないかと言われております。また、警察庁が分析した、平成十年以降に発覚した犯罪死の見逃し等事案四十三件につきましても、解剖を実施していれば犯罪死を見逃すことがなかったのではないかと考えられております。

 公明党も、死因究明は最後の医療行為であり、命の尊厳を守る最後のとりでであるとの視点に立ちまして、マニフェストにも掲げ、また、死因究明制度の抜本的な改革に大口議員を中心に取り組んでまいりました。

 まず、死因究明の推進に取り組んでこられた立場から、二本の法律についての認識につきまして、大口議員にお伺いいたします。

○大口委員 お答えをさせていただきたいと思います。

 今、高木委員からも御指摘ありましたように、平成十九年に時津風部屋の事件がありました。あれは、解剖をして、犯罪という形になったわけであります。また、パロマ事件でも、もっと早くこの事故の原因、死因が究明されていれば、繰り返されることはなかった。

 そういう反省に立ちまして、平成十九年から二十年にかけて、衆議院の法務委員会で、当時、下村委員長でございましたが、勉強会ですとか、あるいは委員の派遣等をさせていただきました。また、自公でもって議連をつくらせていただきまして、異状死死因究明制度の確立を目指す議連、これを設置して、専門家からいろいろヒアリングをさせていただきました。また、民主党さんにおきましても、法案を出されたり、今、中井先生いらっしゃいますけれども、あるいは細川先生、これを一緒にやっていこうじゃないか、こういうことであったわけでございます。

 今回、私ども、平成二十二年六月に出させていただきました死因究明推進法案に身元確認も入れて、委員長提案、それと、政府・与党から出されていた警察の取り扱いの死体についての死因究明と身元確認についての法案、これが出されたということでございまして、生命の尊重そしてまた個人の尊厳保持のために、この二法案を精査していただきまして推進をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

 以上です。

○高木(美)委員 それでは、この法律案でございますが、第六条第一項には、重点的に検討され、及び実施されるべき施策を掲げております。

 まず、第四号に規定されています警察等における死因究明等の実施体制の充実につきまして、現状の問題点と今後の対応について警察庁の認識を伺いたいと思います。

○舟本政府参考人 お答えいたします。

 府県警では、警察が取り扱うこととなりました死体に対しまして実施する検視等の専門家として検視官というものを配置してございますが、この検視官の人数は、現在、限りがございまして、必ずしも十分にこの検視官が現場に臨場して死体の検視等を実施するという状況にはなっていないということでございます。

 検視官の体制強化につきましては、平成二十年度は全国で百六十名でございましたが、その後、私ども増員を図っておりまして、平成二十四年度には三百四人となってございます。

 また、あわせまして、検視官が現場に臨場できない場合には、現場で撮影された動画を検視官がリアルタイムで確認をし、事案に即した指導ができるような検視支援装置などの装備資機材の整備も進めているところでございます。

 こうした検視官の体制強化、資機材の整備、これは今後ともしっかりと取り組んでいく必要があると考えております。

○高木(美)委員 続きまして、第三号に規定されています人材の育成及び資質の向上のための施策につきまして、現状の問題点と今後の対応への認識を伺いたいと思います。

 厚労省、文科省、警察庁、恐れ入りますが、一分程度でお願いをしたいと思います。

○篠田政府参考人 御説明を申し上げます。

 私ども厚生労働省といたしましても、死因究明につきましては、公衆衛生の向上という観点から、非常に大事だというふうに考えております。

 一方で、行政解剖を行う監察医が置かれていない地域というのもございます。そういった地域におきましては、法医学教室の方で解剖していただくとか、あるいは、警察医とか一般の臨床医の方々が警察からの依頼を受けて検案を行っているという状況にございます。こういった場合ですと、一定の知識は当然お持ちでございますけれども、法医学の専門的な知識とかあるいは経験とかが十分とは言えないというようなことが懸念をされるということだろうと思います。

 このために、私どもといたしましても、警察医や一般臨床医の方々の死体検案能力の向上を図らなければいけないということで、平成十七年度から死体検案講習会というのを開催させていただいておりまして、特に本年度、二十四年度につきましては、昨年から予算を倍増させるということで対応させていただいてきているところでございます。

 今回の法案を踏まえまして、今後とも、公衆衛生の向上を図るという観点から、人材の育成あるいは資質の向上ということにつきましては、私どもとしても、これに取り組ませていただきたいというふうに考えているところでございます。

○板東政府参考人 まず、現状の問題点ということでございますけれども、法医あるいは法医学を志す学生というのは非常に少なくなっておりまして、二十一年、二十二年の大学院の法医学講座に所属する学生数を見ましても、五十名前後というような状況でございます。

 学生が法医に進むようなインセンティブを与えていくような魅力あるプログラムの開発というのが重要であるというふうに考えておりまして、法医学を担う人材育成の拠点となるような大学に対する支援を行っているところでございます。先ほども例を挙げさせていただきましたけれども、東北大学や長崎大学などでそういった取り組みをしております。

 また、国公私を通じましての基礎研究医養成プログラム、これは法医を含むものでございますけれども、この構築を行う大学につきましてのすぐれた取り組みの支援も今年度から実施をするということでございます。

 また、基礎教育の中におきましても、必ずこういった一定の法医学に関する学習到達目標をきちんと達成していただくということで、モデル・コア・カリキュラムにも昨年盛り込ませていただいたということで、今後とも充実を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

○舟本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げました検視の専門家である検視官につきましては、現在、警察大学校におきまして専門の教育課程を設けてございますけれども、この中身につきまして、今後ともさらに充実を図っていきたいと思っております。

 また、第一線署におきまして検視業務などに従事する警察官につきましては、現在、検視官が巡回指導をやりましたりとか、あるいは警察学校での講習をやっておりますけれども、これにつきましても、頻度を密にし、また中身をさらに濃くしてまいりたいというふうに考えてございます。

○高木(美)委員 以上の答弁を受けて、動議提出者のお考えを伺いたいと思います。いかがでしょうか。

○大口委員 今、文科省、厚労省あるいは警察庁から、それぞれの取り組みがありました。我々も委員会でも質問させていただいたり、そういう中で少しずつ改善はされていると思います。しかし、まだまだ、政府全体を挙げてこれに取り組んでいこう、人材育成、教育等に取り組んでいこう、こういうことにはなっていない。そういう点で、死因究明推進法というものを今回出させていただきました。

 とにかく、二年間という期間を区切って、そして死因究明等推進会議で、官房長官がトップになって、政府を挙げて死因究明等推進計画を策定して、閣議決定をして、それで進めていくということを本格的にしていかなければならない、こういうふうに考えております。

○高木(美)委員 全くそのとおりかと思います。

 特に、この法律は二年間の限時法という形になっております。果たして、この二年間で急ピッチでそのレールづくりをする、そしてまた、二年たったその先にはどのような体制づくりになっていくのか。恐らく基本法であるとか、また、さらに強固な法整備が必要なのではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、今、人材の育成、資質の向上という点から、どうしても、予算と人材の確保がなければこの法案というのは絵に描いた餅になってしまうかと思います。今後、与党として、実効性を持たせるために当然政府に強力に働きかけていただかなければなりませんし、本来であれば、ここのところは官房長官であるとかそういう方の答弁を求めるところでございますけれども、きょうはその出席というわけにはまいらないという状況でございますので、いずれにいたしましても、これは細川議員にお伺いをしたいと思います。

 あわせまして、それでは、それぞれの政策の目標につきまして、どの程度の数値目標を掲げていくのか、また、どの程度の数値目標を進めていけばこの立法の趣旨が達成された、そのようにお考えなのか、伺いたいと思います。

○細川委員 高木委員がおっしゃるとおり、予算と人材の確保が何といっても肝要でありまして、幾ら法案が成立をいたしましても、解剖する法医が足りなくては、これは実効性が少なくなってまいります。

 したがって、推進法案では、政府が責任を持って推進計画を立てるということになっておりまして、その計画立案の過程で必要な予算確保にも取り組むということになるかと思いますけれども、この死因・身元調査法、これは主に警察庁及び都道府県警察で死因調査のための予算を措置するということになろうかと思いますので、先ほども答弁がありましたような、警察庁の予算措置はしっかりやらせるということが必要であります。

 また、人材の育成等につきましては、先ほど文科省あるいは厚労省の方からも御答弁がありましたような、しっかりやっていくということでありますから、当然予算の方もまた確保していただかなきゃなりませんし、確保させるためにしっかり与党として努力をしていくということもお約束したいと思いますが、この法案につきましては議員立法でございます。国会の意思として法案が成立をいたしましたならば、これは当然、与党だけではなくて全党で、ひとつ予算確保のためにしっかりみんなで頑張っていきたいというふうに思っております。

 それから、どれくらい進めば大体目標が達成されるのかというような御質問でございました。

 これは死因究明推進法とも相まって、先ほどからこの議論の中で出ておりますように、日本の解剖率というのは大変少ないわけでありまして、これをやはり外国並みに持っていくということが大事かと思いますけれども、なかなかそれまでにはいろいろな過程があろうかというふうに思いますので、推進法のところでの、しっかりした法律をつくり、そしてまた計画を実行していくというようなことと相まって、目標を達成できるように、海外並みにできるようにしていきたいというふうに思います。

 当面の目標というのは、先ほど警察庁の方からお話がありましたように、解剖率二〇%を目標とするということで、それくらいまでいけば、ある程度達成がしていけたというふうに言えるのではないかというふうに思っております。

○高木(美)委員 その当面とおっしゃるのが二年間程度なのか、今一一%ですのでもう少し先になるのか。私は、やはり二年程度でそこまでという目標で、人材の確保とあわせまして、まず進めてみるべきと考えます。

 いずれにいたしましても、これは国民の生命を守るための一つの基盤整備という、まさに見えないところですけれども、実に重要なところでございまして、これこそ政治として、与野党を超えて取り組むべきと考えます。またこれからもしっかりと私も携わらせていただきますことを申し上げまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

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