「国家戦略特区法案」について

2013.11.8

○高木美智代君 公明党の高木美智代です。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました国家戦略特別区域法案について質問いたします。(拍手)

 ことしのプロ野球日本シリーズにおいて、楽天イーグルスが初優勝を遂げ、東北が歓喜に包まれました。先の見えない避難生活を送る方たちからも、久しぶりに大きな希望をもらった、うれしくて震えも涙もとまらないなどの声が相次ぎ、東北の方たちのはじける笑顔を見た私も、胸が熱くなりました。

 見せましょう、野球の底力をと呼びかけた結果は、まさにスポーツの持つ力を満天下に示し、東北の方たちの心をかたいきずなで結びました。

 スポーツといえば、二〇二〇年、東京で、日本で、オリンピック、パラリンピックが開催されます。

 本法案は、七年後のオリンピックの開催を追い風に、日本の経済社会の風景を変える、世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出するとの総理の御決意を示すものであると認識しております。

 今こそ、二〇二〇年、さらには、その先の未来に向かって、オール・ジャパンで力強い成長戦略を実現していくことが重要であると考えます。

 安倍内閣発足以降、経済は明らかに好転しつつありますが、これからが重要です。

 デフレ脱却と経済再生の道筋を確かなものにする、そして景気回復の恩恵を、家計へ、中小企業へ、地方へと、つなげていかなければなりません。

 先日、三回目の政労使会議が開かれましたが、企業収益を確実に賃金上昇に反映させるということについて、協議の進捗状況を含め、足元の経済の好循環実現に向けた総理の御決意を伺います。

 こうした足元の経済成長とともに、中長期の視点が欠かせません。そうした観点からすれば、本法案による国家戦略特区の創設は、日本経済の再生に向けた柱の一つであり、大胆な規制・制度改革を実行する突破口として、第三の矢である、民間投資を喚起する成長戦略を効果あらしめるための大きな一歩であると、評価いたします。

 その制度設計に当たっては、国家戦略という名にふさわしい、より効果が発揮できる、充実した制度とすることが肝要と考えます。

 本法案が日本経済再生に大きな力を発揮することができるかどうか、総理の御認識を伺います。

 以下、法案に沿って質問いたします。

 本法案において、内閣府に内閣総理大臣を議長とする国家戦略特区諮問会議を置くこととされ、会議の構成員には、内閣総理大臣が任命する民間有識者が含まれております。

 特区の推進に当たり、民間のすぐれた識見を活用することに、異論はありません。しかし、マクロ経済政策等大きなテーマを扱う経済財政諮問会議とは異なり、国家戦略特区諮問会議では、各特区の個別の案件も議論されることとなります。

 民間有識者が、個別の特区の具体のメニューについて、特定の者の意見を押し込もうとする、あるいは抑え込もうとするといったことは起きないでしょうか。一抹の不安を覚えます。

 言うまでもなく、会議の運営が特定の利害に誘導されるようなことがあってはならず、公平性、中立性を確保するために政府は万全の対策を講じることが必要と考えますが、新藤担当大臣の御見解を伺います。

 本法案に基づく対象区域については、規制改革事項等から見て、いわゆる大都市部になることがおおよそ想定されますが、日本全体によい影響が及ぶことが大切です。

 人、物、金が大都市部に集中し、地方との格差拡大、さらには、東日本大震災からの復興が置き去りにされるのではないかとの不安の声も聞かれます。

 総理は、こうした声にどのように対応されるおつもりなのか、御見解と御決意を伺います。

 あわせて、対象区域の指定に当たっての基本的考え方について、新藤大臣に伺います。

 次に、国家戦略特別区域計画の作成について伺います。

 国家戦略特区の成否は、特区ごとの国家戦略特別区域会議において、国、地方、民間の三者が一体となって議論し、その区域において真に必要な内容を特区計画に盛り込むことができるかどうかが大きな要素になります。

 計画の作成に当たっては、国が主導して特区を推進するとはいえ、特区内の住民や事業者が積極的に参画してこそプロジェクトは成功します。地方自治の尊重、地方分権の推進の観点からも、地域の実情に精通している特区内の地方公共団体の長が、責任ある立場として特区会議に参加することが不可欠ではないでしょうか。

 特区計画の作成に当たっては、関係する地方公共団体の貴重な意見がきちんと反映されるよう本法案において措置すべきと考えますが、新藤大臣の見解を伺います。

 今後、それぞれの特区における取り組みが進捗、具体化していく過程において、さらなる取り組みの推進のため新たに措置すべき規制改革事項が浮き彫りになることが想定されます。その中には、これまでの議論では出てこなかった、全く新しい観点からの規制改革が必要となる可能性もあります。

 規制改革に終わりはありません。

 特区ごとに設置される特区会議において、国、地方、民間の三者が一体となって協議した結果、新たな規制改革事項の必要性が共有されたということであれば、その事実は非常に重いものであると考えます。

 このような場合の対応、また、今回、協議がまとまらなかった項目や、盛り込まれなかった全国の自治体からの提案の取り扱い、さらには、本法第五条第七項に基づく新たな提案の募集について、新藤大臣のお考えを伺います。

 次に、関係大臣の関与について伺います。

 特区の円滑な推進のためには、いたずらに関係大臣と対峙する構図をつくるのではなく、関係大臣による適切な関与を認め、政府一体となって推進する体制を構築することが重要であると考えます。

 本法案において、政府一体となって特区を推進する体制についてどのように措置するのか、新藤大臣の見解を求めます。

 本法案による特区は、これまでの地域特区と対比して、企業に特例の恩恵を与える企業特区とも言われておりますが、大企業のみならず、中小企業への支援も盛り込まれるべきであると我が党は強く主張してまいりました。また、ベンチャー企業や女性、若者等の起業・創業支援も必要と考えます。

 総理がこれまで主張してこられたように、とりわけ女性の活用が急務であり、特区内においても、女性の起業・創業支援、管理職登用など、女性の一層の活躍の場の整備に取り組むべきと考えます。そのために実現されるべきはワーク・ライフ・バランスであり、それこそグローバルスタンダードと言えます。総理の御決意を伺います。

 特区という試みは、大胆な規制改革の実行を伴うものであり、その意味ではチャレンジングなものでありますが、新たな一歩を踏み出さなければイノベーションは生まれません。中長期的な見通しを持ちつつ、目標及びその達成に向けた工程表を設定した上で、取り組みの実施状況の評価、検証を行い、必要に応じて見直すなど、PDCA方式による進捗管理を適切に行うことが肝要と考えます。

 このたびの国家戦略特区において、どのようにPDCA方式を確立していこうとしているのか、新藤大臣の御見解を伺います。

 あわせて、これまでの構造改革特区など、政府が進めてきた特区制度における効果等の検証作業も重要と考えますが、答弁を求めます。

 アメリカ・コロンビア大学のノーベル賞経済学者であるジョセフ・スティグリッツ教授は、先日のNHKのインタビューで、アベノミクスへの期待について、構造改革も大事だが、単純に、金融政策だけ、財政政策だけ、構造改革だけという政策は過去のものだ、同時に実行する包括的な政策が必要です、女性が働きやすい職場をつくり、経済のグローバル化を進めること、安倍総理がそうした前向きな構造改革を実行することを期待していると述べております。

 今後、特区の取り組みを推進していくことにより日本経済を再生に力強く導こうとする総理の御決意を最後に伺い、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 高木美智代議員にお答えいたします。

 経済の好循環実現に関するお尋ねがありました。

 デフレ脱却と経済再生のためには、賃金上昇を伴う好循環を実現していくことが重要であり、政労使会議において、これに向けた共通認識の醸成を目指して取り組んでおります。

 これまで、経済界から、企業収益の改善を雇用の創出と賃金の引き上げにつなげていくことが重要である、あるいは、業績の改善を報酬の形で還元することを検討したい、そして、報酬に関しては従来の定期昇給を中心とした賃金の態様を見直すことも含めて検討するなどといった、心強い発言をいただいているところであります。

 経済成長を早期に賃金上昇や雇用拡大につなげ、全国津々浦々まで景気回復の実感を得られるよう、引き続き取り組んでまいります。

 国家戦略特区の意義、効果等についてお尋ねがありました。

 国家戦略特区は、大胆な規制改革等を実現するための突破口として、居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成、医療等の国際的イノベーション拠点整備といった観点から、特例的な措置を組み合わせて講じるものです。

 これにより、世界で一番ビジネスのしやすい環境を目指し、国、地方、民間が三者一体となって取り組むプロジェクトの推進により、民間投資の喚起を通じ、日本経済を停滞から再生へ導くことができると考えております。

 大都市と地方の格差拡大の不安についてお尋ねがありました。

 国家戦略特区は、大都市のみならず、地方も視野に入れた全国的な視点に立って、日本経済再生につながるプロジェクトの推進を図るものです。この国家戦略特区における取り組みがリーディングプロジェクトとなり、日本経済全体が再生することで、ひいては、地方を含めた日本全体の発展にもつながるものと考えております。

 また、従来の特区制度やその他の施策を着実に進めるなど、地域活性化施策を全国各地で積極的に展開し、全国隅々にまで成長の成果を行き渡らせてまいります。

 次に、中小企業、ベンチャー企業、女性、若者への配慮についてお尋ねがありました。

 国家戦略特区のプロジェクトは、国、地方自治体、民間が三者一体となって推進するものであり、大企業に限らず、中小企業や女性、若者にも広く参加いただきたいと考えています。

 ベンチャー企業や中小企業も含め、規制の特例措置等による投資を促すとともに、女性、若者を含め、頑張る人たちの活躍の場や雇用の拡大を目指して取り組んでまいります。

 いずれにせよ、私は、女性が輝く社会の実現を最も重要なテーマの一つと位置づけております。この法案に限らず、これからも、女性の起業支援、管理職登用などに全力で取り組んでまいります。

 最後に、国家戦略特区の取り組みにより日本経済を再生に力強く導く決意についてのお尋ねがありました。

 高木議員御指摘のように、金融政策、財政政策、成長戦略の三本の矢を同時に包括的に進め、女性が輝く社会の実現や、経済のグローバル化に打ちかっていく、前向きな改革の実行が重要です。国家戦略特区は、まさに、この前向きな改革のかなめです。

 実行なくして成長なし。本法案を成立させ、実行に移すことで、世界で一番ビジネスがしやすい環境を実現し、日本経済の再生につなげてまいります。

 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)

    〔国務大臣新藤義孝君登壇〕

○国務大臣(新藤義孝君) 高木美智代議員から、六点お尋ねをいただきました。

 まず、諮問会議の運営についてでございます。

 御指摘のとおり、国家戦略特区諮問会議の運営に当たりましては、公平性、中立性を確保することが重要であることは言うまでもございません。

 このため、国家戦略特区諮問会議につきましては、その運営に当たり、構成員である民間有識者が、仮に会議の調査審議事項につき特別の利害関係を有するときには、当該事項について調査審議に関与することができないようにしたいと考えております。

 この趣旨については、国家戦略特区基本方針に記載をするとともに、具体的な運営方法について、会議の運営規則等で明確化をしてまいります。

 また、会議について、議事要旨の公表及び一定期間経過後の議事録の公表を行うことにより、調査審議の透明性を高めることとします。

 いずれにしても、国家戦略特区諮問会議の公平性、中立性が確保されるよう、万全の対策を講じてまいりたいと考えております。

 次に、対象地域の指定でございます。

 この基本的考え方についてでございますが、具体的な地域の指定については、法案成立後に立ち上がる国家戦略特区諮問会議において、国、地方、民間が一体となって取り組む、我が国経済にインパクトのあるプロジェクトについて検討し、それを実施するのにふさわしい区域の選定に入っていくということになります。

 特区の指定箇所数は、国家戦略として必要な範囲に限定することとしておりますが、いずれにせよ、特区諮問会議において検討をさせていただきます。

 次に、特区計画の作成についてのお尋ねでございます。

 国家戦略特区は、国、地方、民間の各主体が三者一体となって取り組むプロジェクトを推進するものでございます。

 御指摘のとおり、プロジェクトの推進には、地域における行政を自立的かつ総合的に実施する役割を広く担っている地方公共団体の主体的な参画が不可欠だと考えております。

 本法案においては、区域計画は、国家戦略特区担当大臣、関係地方公共団体の長、民間事業者の三者が相互に密接な連携のもとに協議した上で、合意して作成することとしているため、関係地方公共団体の意見は十分反映されるものと考えております。

 いずれにしても、地方自治体とよく連携をし、取り組んでまいります。

 次に、新たな規制改革事項についてのお尋ねでございます。

 国家戦略特区につきましては、八月十二日から一カ月間、提案募集を行いまして、二百四十二の団体、そのうち地方公共団体は六十一でございましたが、この二百四十二の団体から提案がございました。

 国家戦略として必要な範囲を限定することから、規制改革の提案の全てを国家戦略特区として取り上げることは困難でございます。しかしながら、これらの提案には、日本の構造改革の推進等に資するような、重要で有効な提案も多数含まれており、こうしたものについては、構造改革特区の提案とみなして、実現していくスキームをこの国家戦略特区法案の中に盛り込んでございます。

 また、本法案が成立した後に、国家戦略特区を具体的に実現していく過程に入りますが、そのときに、民間事業者や地域からの新たな問題提起を通じて、さらなる規制・制度改革の課題が必ず浮かび上がってくる、このように考えております。

 法の第五条第七項に基づく提案募集につきましては、そのような状況をしっかりと見きわめまして、適切な時期に行っていきたいと考えています。取り入れるべき提案があれば、その実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 議員が御指摘のとおり、規制改革に終わりはないとの認識に立ちまして、国家戦略特区の推進に取り組んでまいります。

 次に、関係大臣の関与についてのお尋ねでございます。

 特区を政府一体となって推進する体制を構築することが重要であるとの御指摘は、そのとおりでございます。

 このため、国家戦略特区制度では、特区に関する政府全体の方針を定める基本方針を閣議決定により策定する、特区の指定は政令により行うこととしており、いずれも政府全体の意思として決定を行うことにしております。

 さらに、基本方針にのっとって作成される区域計画については、認定の際、専門的な立場から事業が本法の規定に合致しているかどうかを判断するため、計画に記載された事業及び規制の特例措置を所管している関係大臣の同意を得ることとしております。

 また、国家戦略特区諮問会議及び国家戦略特区会議は、プロジェクトを進めていく上で、専門的な立場である関係大臣の意見を聞くことが必要となった場合には、関係大臣を構成員として、意見を聞くことができるとしております。

 いずれにしても、政府一体となって国家戦略特区を推進してまいりたいと思います。

 最後の御質問でございます。特区の評価のあり方について。

 議員が御指摘をいただきましたように、国家戦略特区を指定したことで終わりではなく、国家戦略特区におけるプロジェクトの円滑な実施は、日本経済の再生を実現することにつながっていく、そうしたプロジェクトの効果を最大限に発揮するためには、PDCA方式による進捗管理を適切に行うことが重要である、このように考えているわけです。

 このため、国家戦略特区ごとに国家戦略特区会議が国家戦略特区計画を定期的に評価をして、そしてその結果を内閣総理大臣に報告することとしておりまして、これにより、適切にプロジェクトの評価を実施し、必要な見直しを加えていくことで、国家戦略特区について最大の成果が上がるように努めてまいりたいと考えております。

 また、構造改革特区、総合特区につきましては、毎年、外部の専門家を含めた評価を実施しておりまして、引き続き、着実に検証を進めてまいりたいと考えております。(拍手)

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